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鬼-不在场证明(1)

时间: 2021-10-07    进入日语论坛
核心提示:アリバイ お花の証言で、その惨死体が豪農山北家のお嬢さんと分ったので、すぐさま山北家へ急使が飛ぶ、駐在所へ自転車が走る、
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アリバイ


 お花の証言で、その惨死体が豪農山北家のお嬢さんと分ったので、すぐさま山北家へ急使が飛ぶ、駐在所へ自転車が走る、警察電話がけたたましく鳴り響く、家々からは、緊張した表情の人々が現場へ、現場へと駈け出す、暫くして係官を満載した警察自動車が本署から到着するという、物々しい騒ぎとなった。
 綿密な現場調査が終り、解剖の為に死体がN市の病院へ運び去られると、関係者の取調べを行う為に、(はなは)だ変則ながら、臨機の処置として村の小学校の応接室が借り入れられ、そこへ、鶴子の両親の山北夫婦、同家の傭人(やといにん)、発見者の大宅、殿村、仁兵衛爺さん、娘のお花などが次々に呼入れられた。
 取調べには可成(かなり)の時間を(ついや)したけれど、被害者鶴子の母親が提出した一通の封書の(ほか)には、別段これという手掛りもなかった。
「娘の机の抽斗(ひきだし)の手紙の中に、こんなものがございました。今そこへ入れたばかりという風に、手紙類の一番上にのって居りましたから、きっとあれがうちを出ます()ぐ前に受取ったものに違いございません。男の呼出状でございます」
 母親はそんな風に云って、切手の貼ってない一通の封書をさしだした。
使(つかい)が持って来たのだね。誰がこの手紙を娘さんに渡したのか、傭人達を調べて見ましたか」
 予審判事の国枝(くにえだ)氏が、物やさしく尋ねた。
「ハイ、それはもう充分調べたのでございますが、妙なことに、誰も知らないと申すのでございます。ひょっとしたら、娘が門の所に出ていた時、直接手渡して行ったのかも知れませんでございます」
「フム、そんなことだろうね。ところで、あなたは、この手紙の主に心当りでもありますか」
「イイエ、親の口から申すのも何でございますが、あれに限って、そんなみだらなことは、これっぱかりもございません。この手紙の男も、決して前々から知っていたのではなく、上手な呼出文句に、ついのせられたのではないかと存じます」
 で、その呼出状の文句というのは、()の様な至極(しごく)簡単なものであった。

今夜七時、お宮の石燈籠(いしどうろう)のそばで待っています。きっと来て下さい。誰にも云ってはいけません。非常に非常に大切な用件です。

Kより

「この筆蹟に見覚はありませんか」
「一向心当りがございません」
「鶴子さんは、大宅村長の息子の幸吉君と許婚(いいなずけ)になっていた(そう)ですね」
 国枝判事はそれとなく気を()いた。手紙の差出人のKというのが、幸吉の頭字(かしらじ)に一致するし、許婚からの手紙なら、娘が直様(すぐさま)その呼出しに応じたのも無理ではないと思われたからだ。

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