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海底魔术师-沉船里的怪物(3)

时间: 2021-08-29    进入日语论坛
核心提示:「ここへ、はいってみようか。」「うん、よかろう。」 手まねで話しあって、ふたりはそのドアのむこうへ、ふみこんでいきました
(单词翻译:双击或拖选)

「ここへ、はいってみようか。」
「うん、よかろう。」
 手まねで話しあって、ふたりはそのドアのむこうへ、ふみこんでいきました。
 大きな蒸気機関が、よどんだ水の中に、しずまりかえっていました。機械の死がいというかんじです。機械でも動いているときは生きているのですから、それが死にたえたようにじっとしているのは、なんとなくぶきみなものです。
 ふたりが、そこへはいって、二―三歩あるいたときです。じつにふしぎなことが、おこりました。死んでいる機械の一部分が、ゴトゴト動きだしたのです。
 ふたりは、ギョッとして立ちすくみました。沈没して一ヵ月もたった機械が動きだすはずがないからです。しかし、じっと見ていますと、機械の一部が、たしかに動いているではありませんか。
 そのうちに、機械の一部が、機関をはなれて、スーッと、こちらへただよってくるように見えました。機械のおばけのようなものです。ふたりの潜水夫は、鉄かぶとの中で、「ワーッ。」とさけんで、にげだしました。両手で水をかきながら、死にものぐるいで、にげだしました。
 そのとき、ふたりははっきりと、ばけものの姿を見たのです。それは、なんともいえない、おそろしいかっこうをしていました。
 生きている機械でした。いや、機械のような生きものでした。そいつには頭があり、両手があり、それからワニのようなしっぽがありました。それがみんな、機械のように鉄でできているらしいのです。
 黒い鉄の頭は、人間の倍ほどもありました。ちょうど潜水服の鉄かぶとと、おなじぐらいの大きさです。その顔に、大きなくぼんだ目がふたつ、海底のうすやみの中でも、ギラギラ光っていました。口は耳までさけていて、するどい(きば)がはえていました。その怪物は、ふとい鉄の棒のような両手で、「こちらへおいで。」というような、手まねきをしていましたが、その鉄のゆびのさきには、ワシのようなするどいツメがはえていました。胴体もしっぽも鉄でできているらしく、背中からしっぽにかけて、鳥のトサカのような、動物のタテガミのような、とんがったギザギザのものが、ずっと、つづいていました。人間とワニとのあいの子で、しかもそのからだが鉄でできているという、なんともいえない、いやらしい怪物でした。
 ふたりの潜水夫は、生きたここちもなく、船倉のやぶれ穴から、外へにげだすと、かぶとの中の電話で、
「たいへんだ。はやく、引きあげてくれ!」
 と、作業船によびかけるのでした。
 ふたりの潜水夫が作業船に引きあげられ、海底の怪物のはなしをしますと、それから大さわぎになって、あくる日は、海上自衛隊まで出動して、海底の大捜索がはじめられたのですが、沈没船の中をいくらさがしても、怪物はふたたび、姿をみせませんでした。
 そこで、おしまいには、ふたりの潜水夫が、海の底でまぼろしを見たのだろう、ということになってしまいました。
 潜水夫たちは、
「あれがまぼろしであって、たまるものか。われわれは、そいつの姿をはっきり見たのだ。ふたりがそろって、まぼろしを見るなんてことがあるもんか。」
 と、いいはりましたが、だれも信用してくれません。
 ふたりの潜水夫は、それでは、おれたちが、もう一度もぐって、しらべてみるといって、沈没船の中を、くまなくさがしたのですが、二度と怪物に出あうことはできませんでした。

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