百貨店のような大型店で、「本日はご来店いただきまして誠にありがとうございます」という店内放送を聞くことがあります。「頂く」は自分の行為を謙遜する謙譲語ですので、正しくは相手の行為に敬意を示す尊敬語で「ご来店くださいまして」と言うべきです。間違った敬語の使い方ですが、実際にこのアナウンスを聞いて不快に感じる人は、恐らくほとんどいないのではないでしょうか。
尊敬語と謙譲語の混用や二重敬語など用語の間違いは、公的な式典の場では、式典の品格を損ないますので問題です。しかし、日常的な人付き合いの中で間違った敬語遣いをしても、相手や周囲に不快感を与えるようなことは少ないはずです。日常の生活やビジネスの場における失礼な敬語とは、そのような恥ずかしい敬語の誤用ではなく、相手が不快感を覚える言葉遣いのことです。以下では、その敬語表現の例を紹介します。