「幸いです」には2種類の用法があります。ひとつは、「〜していただければ幸いです」という形で、相手に対して依頼・要望を伝える場合です。もうひとつは、「〜であれば幸いです」という形で、自分の願望を述べる場合です。ただ、この場合は相手に自分の願望を明らかにするだけで、けっして相手に何かを要求する言い回しではありません。いずれの場合も、「幸いです」の前に依頼事項や願望を仮定条件として提示し、その末尾に条件・仮定を表す接続助詞「ば」や「たら」を付けて「幸いです」につなげます。
なお、「〜していただければ幸いです」の場合、表面的にはあくまでも依頼・要望の文言ですが、相手との立場関係によっては命令にも等しい要求になる場合があります。そのような場合、「幸いです」という言葉遣いは現実の上下関係をオブラートで被い、対等な関係を演出する潤滑油として機能していると言えるでしょう。