日本には、奈良時代に中国から唐楽の楽器として伝来した。現在では尺八といえば一般的に、狭義で普化尺八のことを指す。竹製で、管の外側を斜めに削り落として作った歌口に息を唇から直接吹きつけて音を発する。前面に4つ、背面に1つの指孔があり、音高の変化はその指孔の開閉と、息の圧力および角度の変化によって得られる。筒音から順に指孔を全開または全閉して得られる第1オクターブ(呂または乙)の音(幹音別記譜例)は、同じ指使いで鋭く息を吹き入れて発する第2オクターブの音(甲)、独特な指使いで、不完全ながらに得ることができる第3オクターブ(大甲)の音を合わせて常用される音域は、ほぼ2オクターブ半に及ぶ。通常は右手を下に構えるが、逆でも構わない。管長は1尺8寸(約54.5cm)を標準とするが、それを中心に1寸(約3cm)刻みに長短が各種あって、半音ずつの移調楽器となっている。
尺八