「どうしてこんなに外が騒がしいのかしら…」
閉じた天岩戸をそっと開いて、
「私が天岩戸に隠れたせいで、高天原が闇に包まれ、地上も真っ暗になったはずなのに、どうしてアメノウズメがエンジョイダンシングで、神々はみんなキャッキャ喜んでいるのよ?」
と尋ねてみます。
するとアメノウズメは、こう答えたのです。
「あなたよりもっとスゴイ神様がいらっしゃるので、皆で歓喜の声を上げてダンスしているのですよー」
さらにアメノコヤネとフトダマが例の鏡を差し出して、アマテラスに見せたところ、確かに鏡に神らしい姿が映っています。
「ますますアヤシイ…」
アマテラスはその神のことが気になって仕方ありません。もう少し良く見てみようと、天岩戸をもう少し開いて身体を乗り出したそのとき!
天岩戸の陰に隠れていた力持ちのアメノタヂカラオが、アマテラスの腕をぐいっと掴んで引っ張り出しました。
間髪入れずにフトダマは、注連縄(しめなわ)を天岩戸の入口に張って通せんぼ。
「もう中には戻れませんよ」
無理矢理でしたが、作戦は大成功。そんなこんなでアマテラスが天岩戸から出て来たので、高天原も地上も自然と明るくなりました。