「ぼくは隠岐の島(おきのしま?島根県沖)に居て、ここに渡りたかったのです。でも手段がなかったので、海のサメを騙して『うさぎ族とサメ族、どっちの種族の方が数が多いのか比べっこをしようよ。
キミはサメ族の仲間を皆連れて来て、この島から気多ノ前まで順に並んでくれればいい。
そうしたらぼくが飛び跳ねてキミたちの背中を伝いながら、数をカウントするから。走りつつ数えながら渡ることにしよう。これでどっちの種族が多いか判るだろう?』と言ったのです。
騙されたサメがずらっと並び、ぼくは彼らの背中を飛び跳ねて数えながら海を渡りました。
そして今まさに岸に降りようとするとき、『ぼくにまんまと騙されたね!』と口走ったその瞬間、一番端にいたサメがぼくを捕えて毛皮を剥いでしまったのです。
こんなことがあったので泣いていたら、先ほど神さまたちから『海の塩水を浴びて、風に吹かれて寝転んでなさい』と命じられました。そのとおりにしたら、却って満身創痍になってしまったのです」