日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 黑柳彻子 » 正文

トットチャンネル32

时间: 2018-10-14    进入日语论坛
核心提示:懐中時計《かいちゆうどけい》 NHKの授業は、養成も終りに近づいて来て、熱が入って来た。�テレビのための専属俳優�という
(单词翻译:双击或拖选)
 懐中時計《かいちゆうどけい》
 
 
 NHKの授業は、養成も終りに近づいて来て、熱が入って来た。�テレビのための専属俳優�という珍《めず》らしさから、新聞、雑誌の取材、というのも、少しずつ始まって来た。
 そんな中で、トットの仕事が、増えた。
 それは、授業中に、一番、先生の近くに座《すわ》ってるトットが、その日、最後の授業の先生の懐中時計を少し進ませて、授業を早目に終らせる、という役目を、同級のみんなから、おおせつかったことだった。最初、トットが、これをやったのは、あの「トットさま」と、体を半身にして歩いてくる朗読、物語の、大岡先生の時間だった。先生|方《がた》は、みんな、鎖《くさり》のついた懐中時計、または、NHKの紐《ひも》つきの、ストップ・ウォッチを、まず机の上の自分の目の前に置くと、授業を始めた。教室は、旅館の日本間で、畳《たたみ》の上に、長い机が並《なら》んでいて、十七人の生徒が、その机のまわりをとりかこむ形で、トットは、先生の右手の角に座っていたから、時計は、目の前だった。大岡先生のは、金色で、長い鎖がついてる懐中時計だった。トットは、始めは、全く悪意はなく、なんとなく、(手にとってみたいなあー)って思ったから、先生が話してる間に、鎖の端《はし》っこに手をかけて、ソロソロと、引っぱってみた。静かに、ゆっくりと。だいたい三十センチくらいの距離《きより》だから、そう難かしくはなかった。ほとんど自分の前まで引っぱって来たとき、パッ! と、畳にすわってる、自分のスカートの膝《ひざ》の間に落しちゃう、という、やりかたが成功した。大きな金色の竜頭《りゆうず》をいじってるうちに、
(少し進ませれば、早く終るのに!)
 という、悪魔《あくま》のささやきが聞こえた。十五分進ませてみた。返すほうが大変だったけど、全く見つからずに、元のところに、もどせた。そのうち大岡先生は、時計を見ると、
「あら、今日はこれで、終りにしましょう」
 といった。トットは、急に良心が痛んだ。今日一日、先生が、この時計で生活したら、気の毒だ! そこで、誰《だれ》かが先生にセリフのことで質問しに来たスキに、大忙《おおいそ》がしで、十五分、もどして、机に置いた。この話を、得意になって同級生にしたものだから、みんなは、すっかり喜こんで、少し早目に終ってほしい授業のときは、「頼《たの》む!」という話になった。以来、トットは、みんなの注文に応じて、だいたい、十五分くらい進ませた。数学が得意じゃないトットが、半端《はんぱ》な数のときに十五分進ませるのは大変で、一度などは、何度も進ませたり、もどしたりしてるうちに、わかんなくなって、適当にして、机にもどしたら、その日は、いつまで経《た》っても授業が終らなくて、みんなに、あとから文句をいわれた。調べてみたら、間違《まちが》って、二十分も、遅《おく》らせちゃったのだった。以来、半端な数のときは、机の下に、ノートを置いて、足し算をしてから、進ませた。
 ただ、トットが、どんな困難を排《はい》しても、やったことは、授業が終ったとき、必らず十五分、もとに、もどす、ということだった。
 スリでも、スルより、もどす[#「もどす」に傍点]のが難かしい、といわれているように、ソソクサと帰ろうとする先生の時計を、間違いなく十五分、もとにもどしておく、というのは、かなりの技術と才覚を必要とした。でも、どこか手際《てぎわ》がいいのか、必ず成功した。いまだから白状するけど、養成の終りの三ヶ月くらいは、ほとんど、毎日、先生方は、疑うこともなく、早く授業を終らせて下さっていたんだ。でも、それが、同級生の誰よりも、セリフが下手で、みんなに教えてもらっていたトットが、唯一《ゆいいつ》、みんなにお返し出来た、というか、感謝されたのが、この懐中時計の、一件だった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%