何もかもが理不尽だという怒りが込こみ上げてきて、ハリーは叫さけびたかった。僕がいなければ、誰もヴォルデモートの復活を知らなかった それなのに、ご褒美ほうびは、リトル・ウィンジングにびっしり四週間も釘づけだ。魔法界とは完全に切り離はなされ、枯かれかかったベゴニアの中に座り込むようなまねまでして、聞いたニュースがセキセイインコの水上スキーだ ダンブルドアは、どうしてそう簡単に僕のことが忘れられるんだ 僕を呼びもしないで、どうしてロンとハーマイオニーだけが一いっ緒しょにいられるんだ シリウスがおとなしくいい子にしていろと諭さとすのを、あとどのくらい我慢がまんして聞いてりゃいいんだ 間ま抜ぬけな「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」に投書して、ヴォルデモートが復活したと言ってやりたい衝しょう動どうを、あとどのくらい抑おさえていればいいんだ あれやこれやの激はげしい憤いきどおりが頭の中で渦巻うずまき、腸はらわたが怒りで捩よじれた。そんなハリーを、蒸むし暑いビロードのような夜が包んだ。熱い、乾かわいた草の匂においがあたりを満たし、公園の柵さくの外から低くゴロゴロと聞こえる車の音以外は、何も聞こえない。
どのくらいの時間ブランコに座っていたろうか。人声がして、ハリーは想おもいから醒さめ、目を上げた。周囲の街がい灯とうがぼんやりとした明かりを投げ、公園の向こうからやってくる数人の人ひと影かげを浮かび上がらせた。一人が大声で下品な歌を歌っている。他の仲間なかまは笑っている。転がしている高こう級きゅうそうなレース用自転車から、カチッカチッという軽い音が聞こえてきた。
ハリーはこの連中を知っていた。先頭の人影は、間違いなくいとこのダドリー・ダーズリーで、忠ちゅう実じつな軍ぐん団だんを従えて家に帰る途中だ。