路ろ地じには二人のほかに何かがいた。その何かが、ガラガラとかすれた音を立てて、長々と息を吸い込んでいた。ハリーは恐きょう怖ふに打ちのめされ、凍こおりつくような外気に震ふるえながら立ち尽くした。
「や、やめろ こんなことやめろ 殴なぐるぞ 本気だ」
「ダドリー、だま――」
ボッカーン。
拳こぶしがハリーの側そく頭とうに命中し、ハリーは吹っ飛んだ。目から白い火花が散った。頭が真っ二つになったかと思ったのは、この一時間のうちにこれで二度目だ。次の瞬しゅん間かん、ハリーは地面に打ちつけられ、杖つえが手から飛び出した。
「ダドリーの大バカ」
ハリーは痛みで目を潤うるませながら、慌あわてて這はいつくばり、暗くら闇やみの中を必死で手探りした。ダドリーがまごまご走り回り、路地の壁かべにぶつかってよろける音が聞こえた。
「ダドリー、戻るんだ。あいつのほうに向かって走ってるぞ」
ギャーッと恐ろしい叫さけび声がして、ダドリーの足音が止まった。同時に、ハリーは背後にぞくっとする冷気れいきを感じた。間違いない。相手は複数いる。
「ダドリー、口を閉じろ 何が起こっても、口を開けるな 杖は」ハリーは死しに物もの狂ぐるいで呟つぶやきながら、両手を蜘く蛛ものように地面に這わせた。「どこだ――杖は――出てこい――『ルーモス 光よ』」
杖を探すのに必死で明かりを求め、ハリーはひとりでに呪じゅ文もんを唱となえていた。――すると、なんとうれしいことに、右手のすぐそばがぼーっと明るくなった。杖つえ先さきに灯あかりが点ともったのだ。ハリーは杖をひっつかみ、慌てて立ち上がり振り向いた。
哈利瑟瑟发抖地站在寒冷刺骨的黑夜里,感到一阵强烈的恐惧。“停一停下!住手!我一我要揍你,我说到做到!”“达力,闭—— ” 砰!一拳击中了哈利的脑袋,打得他双脚失去平衡,眼前直冒金星。哈利在一小时内第二次觉得他的脑袋被劈成了两半。接着,他重重地跌倒在地上,魔杖脱手飞了出去。
“你这个笨蛋,达力!”哈利喊道,疼得眼睛里涌出了泪花。他挣扎着手脚并用,在黑暗中胡乱地摸索着。他听见达力踉踉跄跄冲过去,撞在小巷边的栅栏上,脚底下摇摇晃晃。
“达力,快回来!你正好冲着它去了!”一声可怕的、尖厉刺耳的喊叫,达力的脚步声停止了。与此同时,哈利感到身后一阵寒意袭来,这只能说明一件事情。他们不止一个。
“达力,把嘴巴闭上!不管你做什么,千万要把嘴巴闭上!魔杖!”哈利狂乱地说,两只手像蜘蛛一样在地面上快速地摸索。“我的—— 魔杖呢—— 快点—— 荧光闪烁!”
他本能地念出这个咒语,急于想得到点亮光帮他找到魔杖—— 突然,在离他右手几英寸的地方冒出一道亮光,他简直不敢相信,心中松了口气—— 魔杖头被点亮了。哈利一把抓起魔杖,挣扎着站起来,急忙转身。