「いいよ」ハリーが言った。「考え直した。僕、ここにいるよ」
ハリーはさっとテーブルの前に座り、ダドリーとペチュニアおばさんとに向き合った。ダーズリー夫妻ふさいは、ハリーの気が突然変わったので、唖然あぜんとしていた。ペチュニアおばさんは、絶ぜつ望ぼう的てきな目つきでバーノンおじさんをちらりと見た。おじさんの赤あか紫むらさき色いろのこめかみで、青あお筋すじのひくひくが一層激はげしくなった。
「いまいましいふくろうどもは誰からなんだ」おじさんがガミガミ言った。
「最初のは魔法省からで、僕を退学にした」
ハリーは冷れい静せいに言った。魔法省の役人が近づいてくるかもしれないと、ハリーは耳をそばだて、外の物音を聞き逃のがすまいとしていた。それに、バーノンおじさんの質問に答えているほうが、おじさんを怒らせて吠ほえさせるより楽だったし、静かだった。
「二番目のは友人のロンのパパから。魔法省に勤めているんだ」
「魔法省」バーノンおじさんが大声を出した。「おまえたちが政府に ああ、それですべてわかったぞ。この国が荒こう廃はいするわけだ」
ハリーが黙だまっていると、おじさんはハリーをぎろりと睨にらみ、吐はき捨すてるように言った。
「それで、おまえはなぜ退学になった」
「魔法を使ったから」
「はっはーん」
バーノンおじさんは冷れい蔵ぞう庫このてっぺんを拳こぶしでドンと叩たたきながら吠えた。冷蔵庫がパカンと開いた。ダドリーの低てい脂し肪ぼうおやつがいくつか飛び出してひっくり返り、床に広がった。
「それじゃ、おまえは認めるわけだ いったいダドリーに何をした」
「なんにも」ハリーは少し冷静さを失った。「あれは僕がやったんじゃない――」
「やった」出し抜けにダドリーが呟つぶやいた。
バーノンおじさんとペチュニアおばさんはすぐさま手でシッシッと叩くような仕種しぐさをして、ハリーを黙らせ、ダドリーに覆おおいかぶさるように覗のぞき込こんだ。