「おっかない」ダドリーはかすれた声で言った。「寒い。とっても寒い」
「よしよし」バーノンおじさんは無理に冷れい静せいな声を出し、ペチュニアおばさんは心配そうにダドリーの額ひたいに手を当てて熱を測はかった。「それからどうした」
「感じたんだ……感じた……感じた……まるで……まるで……」
「まるで、二度と幸福にはなれないような」ハリーは抑よく揚ようのない声でそのあとを続けた。
「うん」ダドリーは、まだ小刻こきざみに震えながら小声で言った。
「さては」上体を起こしたバーノンおじさんの声は、完全に大だい音おん量りょうを取り戻していた。
「おまえは、息子にへんてこりんな呪じゅ文もんをかけおって、何やら声が聞こえるようにして、それで――ダドリーに自分が惨みじめになる運命だと信じ込ませた。そうだな」
「何度同じことを言わせるんだ」ハリーは癇かん癪しゃくも声も爆ばく発はつした。「僕じゃない 吸魂鬼がいたんだ 二人も」
「二人の――なんだ、そのわけのわからん何とかは」
「吸きゅう――魂こん――鬼き」ハリーはゆっくりはっきり発音した。「二人」
「それで、キューコンキとかいうのは、一いっ体たい全ぜん体たいなんだ」
「魔法使いの監かん獄ごくの看かん守しゅだわ。アズカバンの」ペチュニアおばさんが言った。
言葉のあとに、突然耳鳴みみなりがするような沈ちん黙もくが流れた。そして、ペチュニアおばさんは、まるでうっかりおぞましい悪あく態たいをついたかのように、パッと手で口を覆おおった。バーノンおじさんが目を丸くしておばさんを見た。ハリーは頭がくらくらした。フィッグばあさんもフィッグばあさんだが――しかし、ペチュニアおばさんが
「どうして知ってるの」ハリーは唖然あぜんとして聞いた。