流しの詰つまりを汲くみ取るときのようなブチュッといういやな音を立て、ムーディは魔法の目を取り出した。
「マッド‐アイ、それって、気持悪いわよ。わかってるの」トンクスが何気なにげない口調で言った。
「ハリー、コップに水を入れてくれんか」ムーディが頼んだ。
ハリーは食しょっ器き洗せん浄じょう機きまで歩いて行き、きれいなコップを取り出し、流しで水を入れた。その間も、魔法使い集団はまだじっとハリーに見入っていた。あまりしつこく見るので、ハリーは煩わずらわしくなってきた。
「や、どうも」ハリーがコップを渡すと、ムーディが言った。
ムーディは魔法の目玉を水に浸つけ、突つついて浮き沈みさせた。目玉はくるくる回りながら、全員を次々に見み据すえた。
「帰き路ろには三六〇度の視し野やが必要なのでな」
「どうやって行くんですか――どこへ行くのか知らないけど」ハリーが聞いた。
「箒ほうきだ」ルーピンが答えた。「それしかない。君は『姿すがた現あらわし』には若すぎるし、『煙えん突とつネットワーク』は見張られている。未み承しょう認にんの移動ポートキーを作れば、我々の命がいくつあっても足りないことになる」
「リーマスが、君はいい飛び手だと言うのでね」キングズリー・シャックルボルトが深い声で言った。
「すばらしいよ」ルーピンが自分の時計で時間をチェックしながら言った。「とにかく、ハリー、部屋に戻って荷造にづくりしたほうがいい。合図が来たときに出発できるようにしておきたいから」
「わたし、手伝いに行くわ」トンクスが明るい声で言った。
トンクスは興きょう味み津しん々しんで、ホールから階段へと、周りを見回しながらハリーについてきた。
「おかしなとこね」トンクスが言った。「あんまり清せい潔けつすぎるわ。言ってることわかる ちょっと不自然よ。ああ、ここはまだましだわ」ハリーが部屋に入って、明かりを点つけると、トンクスが言った。