ハリーは、階段を一段踏ふみはずしたようなガクンという衝しょう撃げきを内臓ないぞうに感じた。それじゃ、僕が追けられてるって、僕以外はみんな知ってたんだ。
「でも、うまくいかなかったようじゃないか」ハリーは声の調子を変えないよう最大限の努力をした。「結局、自分で自分の面倒を見なくちゃならなかった。そうだろ」
「先生がお怒りだったわ」ハーマイオニーは恐れと尊敬そんけいの入り交まじった声で言った。「ダンブルドアが。私たち、先生を見たわ。マンダンガスが自分の担当の時間中にいなくなったと知ったとき。怖こわかったわよ」
「いなくなってくれてよかったよ」ハリーは冷たく言った。「そうじゃなきゃ、僕は魔法も使わなかったろうし、ダンブルドアは夏休み中、僕をプリベット通りに放ほったらかしにしただろうからね」
「あなた……あなた心配じゃないの 魔法省の尋じん問もんのこと」ハーマイオニーが小さな声で聞いた。
「ああ」ハリーは意い地じになって嘘うそをついた。
ハリーは二人のそばを離はなれ、満足そうなヘドウィグを肩に載のせたまま部屋を見回した。この部屋はハリーの気持を引き立ててくれそうになかった。じめじめと暗い部屋だった。壁かべは剥はがれかけ、無む味み乾かん燥そうで、せめてもの救いは、装そう飾しょく的てきな額縁がくぶちに入った絵のないカンバス一枚だった。カンバスの前を通ったとき、ハリーは、誰かが隠れて忍び笑いする声を聞いたような気がした。
「それじゃ、ダンブルドアは、どうしてそんなに必死で僕に何にも知らせないようにしたんだい」ハリーは普通の気軽きがるな声を保つのに苦労しながら聞いた。「君たち――えーと――理由を聞いてみたのかなぁ」
ハリーがチラッと目を上げたとき、ちょうど二人が顔を見合わせているのを見てしまった。ハリーの態度たいどが、まさに二人が心配していたとおりだったという顔をしていた。ハリーはますます不ふ機き嫌げんになった。