「ああ、ハリー、いらっしゃい」ロンの妹、ジニーが明るい声で挨あい拶さつした。「あなたの声が聞こえたように思ったの」
「『伸び耳』は効果こうかなしよ。ママがわざわざ厨ちゅう房ぼうの扉とびらに『邪魔じゃまよけ呪じゅ文もん』をかけたもの」
フレッドとジョージに向かってジニーが言った。
「どうしてわかるんだ」ジョージががっくりしたように聞いた。
「トンクスがどうやって試ためすかを教えてくれたわ」ジニーが答えた。「扉に何か投げつけて、それが扉に接せっ触しょくできなかったら、扉は『邪魔よけ』されているの。わたし、階段の上からクソ爆弾ばくだんをポンポン投げつけてみたけど、みんな撥はね返されちゃった。だから、『伸び耳』が扉の隙間すきまから忍び込むことは絶対できないわ」
フレッドが深いため息をついた。
「残念だ。あのスネイプのやつが何をするつもりだったのか、ぜひとも知りたかったのになあ」
「スネイプ」ハリーはすぐに反応した。「ここにいるの」
「ああ」ジョージは慎しん重ちょうにドアを閉め、ベッドに腰を下ろしながら言った。ジニーとフレッドも座った。「マル秘ひの報告ほうこくをしてるんだ」
「いやな野郎」フレッドがのんびりと言った。
「スネイプはもう私たちの味方よ」ハーマイオニーが咎とがめるように言った。
ロンがフンと鼻を鳴らした。「それでも、いやな野郎はいやな野郎だ。あいつが僕たちのことを見る目つきときたら」
「ビルもあの人が嫌いだわ」ジニーが、まるでこれで決まりという言い方をした。
ハリーは怒りが収まったのかどうかわからなかったが、情報を聞き出したい思いのほうが、怒ど鳴なり続けたい気持より強くなっていた。ハリーはみんなと反対側のベッドに腰掛こしかけた。