「それにもちろん、吸魂鬼ディメンターがあなたを襲おそったことは一言も書いてない」ハーマイオニーが言った。「誰かが口止めしたのよ。ものすごく大きな記事になるはずだもの。制御せいぎょできない吸魂鬼なんて。あなたが『国こく際さい機き密みつ保ほ持じ法ほう』を破ったことさえ書いてないわ。書くと思ったんだけど。あなたが愚かな目立ちたがり屋だっていうイメージとぴったり合うもの。あなたが退学処分しょぶんになるまで我慢がまんして待っているんだと思うわ。そのときに大だい々だい的てきに騒ぎ立てるつもりなのよ――もしも退学になったらっていう意味よ。当然だけど」ハーマイオニーが急いで言葉をつけ加えた。「退学になるはずがないわ。魔法省が自分の法律を守るなら、あなたには何にも罪はないもの」
話が尋じん問もんに戻ってきた。ハリーはそのことを考えたくなかった。ほかの話題はないかと探しているうちに、階段を上がってくる足音で救われた。
「う、ワ」
フレッドが「伸のび耳みみ」をぐっと引っ張った。また大きなバシッという音がして、フレッドとジョージは消えた。次の瞬しゅん間かん、ウィーズリーおばさんが部屋の戸口に現れた。
「会議は終りましたよ。降おりてきていいわ。夕食にしましょう。ハリー、みんながあなたにとっても会いたがってるわ。ところで、厨ちゅう房ぼうの扉とびらの外にクソ爆弾ばくだんをごっそり置いたのは誰なの」
「クルックシャンクスよ」ジニーがけろりとして言った。「あれで遊ぶのが大好きなの」
「そう」ウィーズリーおばさんが言った。「私はまた、クリーチャーかと思ったわ。あんな変なことばかりするし。さあ、ホールでは声を低くするのを忘れないでね。ジニー、手が汚よごれてるわよ。何してたの お夕食の前に手を洗ってきなさい」
ジニーはみんなにしかめ面つらをして見せ、母親について部屋を出た。部屋にはハリーとロン、ハーマイオニーだけが残った。他のみんながいなくなったので、ハリーがまた叫さけび出すかもしれないと恐れているかのように、二人は心配そうにハリーを見つめていた。二人があまりにも神経しんけいを尖とがらせているのを見て、ハリーは少し恥はずかしくなった。