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第4章 グリモールド・プレイス 十二番地(20)_ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団_ハリー・ポッター_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:さっきハリーがその前を通った、虫食いだらけのビロードのカーテンが、左右に開かれていた。その裏うらにあったのは扉ではなかっ
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さっきハリーがその前を通った、虫食いだらけのビロードのカーテンが、左右に開かれていた。その裏うらにあったのは扉ではなかった。一いっ瞬しゅん、ハリーは窓の向こう側が見えるのかと思った。窓の向こうに黒い帽子ぼうしを被かぶった老女がいて、叫んでいる。まるで拷問ごうもんを受けているかのような叫びだ――次の瞬しゅん間かん、ハリーはそれが等とう身しん大だいの肖しょう像ぞう画がだと気づいた。ただし、ハリーがいままで見た中で一番生々なまなましく、一番不快ふかいな肖像画だった。

老女は涎よだれを垂たらし、白目を剥むき、叫んでいるせいで、黄ばんだ顔の皮ひ膚ふが引き攣つっている。ホール全体に掛かっている他の肖像画も目を覚まして叫び出した。あまりの騒音に、ハリーは目をぎゅっとつぶり、両手で耳を塞ふさいだ。

ルーピンとウィーズリーおばさんが飛び出して、カーテンを引き老女を閉め込もうとした。しかしカーテンは閉まらず、老女はますます鋭するどい叫びを上げて、二人の顔を引き裂さこうとするかのように、両手の長い爪つめを振り回した。

「穢けがらわしい クズども 塵ちり芥あくたの輩やから 雑種ざっしゅ、異形いけい、でき損そこないども。ここから立ち去れ わが祖先そせんの館やかたを、よくも汚けがしてくれたな――」

トンクスは何度も何度も謝あやまりながら、巨大などっしりしたトロールの足を引きずって立て直していた。ウィーズリーおばさんはカーテンを閉めるのを諦あきらめ、ホールを駆かけずり回って、ほかの肖像画に杖つえで「失しっ神しん術じゅつ」をかけていた。すると、ハリーの行ゆく手の扉から、黒い長い髪かみの男が飛び出してきた。

「黙だまれ。この鬼おに婆ばばあ。黙るんだ」男は、ウィーズリーおばさんが諦あきらめたカーテンをつかんで吼ほえた。

老女の顔が血の気を失った。

「こいつぅぅぅぅぅ」老女が喚わめいた。男の姿を見て、両りょう眼がんが飛び出していた。

「血を裏切うらぎる者よ。忌いまわしや。わが骨肉こつにくの恥はじ」

「聞こえないのか――だ――ま――れ」男が吼えた。そして、ルーピンと二人がかりの金こん剛ごう力りきで、やっとカーテンを元のように閉とじた。

老女の叫さけびが消え、しーんと沈ちん黙もくが広がった。

少し息を弾はずませ、長い黒くろ髪かみを目の上から掻かき上げ、男がハリーを見た。ハリーの名な付づけ親おや、シリウスだ。

「やあ、ハリー」シリウスが暗い顔で言った。

「どうやらわたしの母親に会ったようだね」


三人は慎しん重ちょうに階段の手摺てすりから覗のぞき込こんだ。階下の薄暗うすぐらいホールは、魔法使いと魔女たちで一いっ杯ぱいだった。ハリーの護ご衛えい隊たいもいた。興こう奮ふんして囁ささやき合っている。グループの真ん中に、脂あぶらっこい黒くろ髪かみで鼻の目立つ魔法使いが見えた。ホグワーツでハリーが一番嫌いな、スネイプ先生だ。ハリーは階段の手摺から身を乗り出した。スネイプが不ふ死し鳥ちょうの騎き士し団だんで何をしているのかがとても気になった……。
細い薄うす橙だいだい色いろのひもが、ハリーの目の前を下りて行った。見上げると、フレッドとジョージが上の踊り場にいて、下の真っ黒な集団に向かってそろりそろりと「伸のび耳みみ」を下ろしていた。しかし次の瞬しゅん間かん、集団は全員、玄げん関かんの扉とびらに向かい、姿が見えなくなった。
「チッキショー」ハリーは、「伸び耳」を引き上げながらフレッドが小声で言うのを聞いた。
玄関の扉が開き、また閉まる音が聞こえた。
「スネイプは絶対ここで食事しないんだ」ロンが小声でハリーに言った。「ありがたいことにね。さあ」
「それと、ホールでは声を低くするのを忘れないでね、ハリー」ハーマイオニーが囁ささやいた。
しもべ妖よう精せいの首がずらりと並ぶ壁かべの前を通り過ぎるとき、ルーピン、ウィーズリーおばさん、トンクスが玄げん関かんの戸口にいるのが見えた。みんなが出て行ったあとで、魔法の錠じょう前まえや閂かんぬきをいくつも掛かけているところだった。
「厨ちゅう房ぼうで食べますよ」階段下で三人を迎むかえ、ウィーズリーおばさんが小声で言った。「さあ、ハリー、忍び足でホールを横切って、ここの扉とびらから――」
バタッ。
「トンクス」おばさんがトンクスを振り返り、呆あきれたように叫さけんだ。
「ごめん」トンクスは情なさけない声を出した。床に這はいつくばっている。「このバカバカしい傘かさ立てのせいよ。躓つまずいたのはこれで二度目――」
あとの言葉は、耳を劈つんざき血も凍こおる、恐ろしい叫びに呑のみ込こまれてしまった。
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