「わかったわ」ウィーズリーおばさんの声がかすれていた。「ジニー――ロン――ハーマイオニー――フレッド――ジョージ――。みんな厨ちゅう房ぼうから出なさい。すぐに」
たちまちどよめきが上がった。
「俺おれたち成人だ」フレッドとジョージが同時に喚わめいた。
「ハリーがよくて、どうして僕はだめなんだ」ロンが叫さけんだ。
「ママ、あたしも聞きたい」ジニーが鼻声はなごえを出した。
「だめ」ウィーズリーおばさんが叫んで立ち上がった。目がらんらんと光っている。「絶対に許しません――」
「モリー、フレッドとジョージを止めることはできないよ」ウィーズリーおじさんが疲れたように言った。
「二人ともたしかに成人だ」
「まだ学生だわ」
「しかし、法律ではもう大人おとなだ」おじさんが、また疲れた声で言った。
おばさんは真まっ赤かな顔をしている。
「私は――ああ――しかたがないでしょう。フレッドとジョージは残ってよろしい。でもロン――」
「どうせハリーが、僕とハーマイオニーに、みんなの言うことを全部教えてくれるよ」ロンが熱くなって言った。「そうだよね――ね」ロンはハリーの目を見ながら、不安げに言った。
ハリーは一いっ瞬しゅん、ロンに、一ひと言ことも教えてやらないと言ってやろうかと思った。何にも知らされずにいることがどんな気持か味わってみればいい、と言おうかと思った。しかし、意い地じ悪わるな衝しょう動どうは、互いの目が合ったとき、消え去った。
「もちろんさ」ハリーが言った。
ロンとハーマイオニーがにっこりした。
「そう」おばさんが叫んだ。「そう ジニー――寝なさい」
ジニーはおとなしく引かれては行かなかった。階段を上がる間ずっと、母親に喚わめき散らし、暴あばれているのが聞こえた。二人がホールに着いたとき、ブラック夫人の耳を劈つんざく叫び声が騒ぎにつけ加わった。ルーピンは静せい寂じゃくを取り戻すため、肖しょう像ぞう画がに向かって急いだ。ルーピンが戻り、厨ちゅう房ぼうの扉とびらを閉めてテーブルに着いたとき、シリウスがやっと口を開いた。