「オーケー、ハリー……何が知りたい」
ハリーは深く息を吸すい込こみ、この一ヵ月間ずっと自分を悩なやませていた質問をした。
「ヴォルデモートはどこにいるの」名前を口にしたとたん、またみんながぎくりとし、身震みぶるいするのをハリーは無む視しした。「あいつは何をしているの マグルのニュースをずっと見てたけど、それらしいものはまだ何にもないんだ。不審ふしんな死とか」
「それは、不審な死がまだないからだ」シリウスが言った。「我々が知るかぎりではということだが……そう、我々は、相当いろいろ知っている」
「とにかく、あいつの想像以上にいろいろ知っているんだがね」ルーピンが言った。
「どうして人殺しをやめたの」ハリーが聞いた。去年一年だけでも、ヴォルデモートが一度ならず人を殺したことをハリーは知っていた。
「それは、自分に注意を向けたくないからだ」シリウスが答えた。「あいつにとって、それが危険だからだ。あいつの復活は、自分の思いどおりにはいかなかった。わかるね。しくじったんだ」
「というより、君がしくじらせた」ルーピンが、満足げに微笑ほほえんだ。
「どうやって」ハリーは当惑とうわくした。
「君は生き残るはずじゃなかった」シリウスが言った。「『死し喰くい人びと』以外は、誰もあいつの復活を知るはずじゃなかった。ところが、君は証しょう人にんとして生き残った」
「しかも、蘇よみがえったときに、それを一番知られたくない人物がダンブルドアだった」ルーピンが言った。「ところが、君がすぐさま、確実にダンブルドアに知らせた」
「それがどういう役に立ったの」ハリーが聞いた。
「役立ったどころじゃない」ビルが信じられないという声を出した。「ダンブルドアは、『例のあの人』が恐れた唯ゆい一いつの人物だよ」
「君のおかげで、ダンブルドアは、ヴォルデモートの復活から一時間後には、不ふ死し鳥ちょうの騎き士し団だんを呼び集めることができた」シリウスが言った。
「それで、騎士団は何をしているの」ハリーが、全員の顔をぐるりと見渡しながら聞いた。