「配下集め以外に、何を」ハリーがすぐ聞き返した。シリウスとルーピンが、ほんの一いっ瞬しゅん目め配くばせしたような気がした。それからシリウスが答えた。
「極秘にしか手に入らないものだ」
ハリーがまだキョトンとしていると、シリウスが言葉を続けた。「武ぶ器きのようなものというかな。前の時には持っていなかったものだ」
「前に勢力を持っていたときってこと」
「そうだ」
「それ、どんな種類の武器なの」ハリーが聞いた。「『アバダ ケダブラ』呪じゅ文もんより悪いもの――」
「もうたくさん」
扉とびらの脇わきの暗がりから、ウィーズリーおばさんの声がした。ハリーは、ジニーを上に連れて行ったおばさんが、戻ってきていたのに気づかなかった。腕組みをして、カンカンに怒った顔だ。
「いますぐベッドに行きなさい。全員です」おばさんはフレッド、ジョージ、ロン、ハーマイオニーをぐるりと見渡した。
「僕たちに命令はできない――」フレッドが抗議こうぎを始めた。
「できるかできないか、見ててごらん」おばさんが唸うなるように言った。シリウスを見ながら、おばさんは小刻こきざみに震ふるえていた。「あなたはハリーに十分な情報を与えたわ。これ以上何か言うなら、いっそハリーを騎き士し団だんに引き入れたらいいでしょう」
「そうして」ハリーが飛びつくように言った。「僕、入る。入りたい。戦いたい」
「だめだ」答えたのは、ウィーズリーおばさんではなく、ルーピンだった。
「騎士団は、成人の魔法使いだけで組織されている」ルーピンが続けた。「学校を卒業した魔法使いたちだ」フレッドとジョージが口を開きかけたので、ルーピンがつけ加えた。「危険が伴ともなう。君たちには考えも及ばないような危険が……シリウス、モリーの言うとおりだ。私たちはもう十分話した」
シリウスは中ちゅう途と半はん端ぱに肩をすくめたが、言い争いはしなかった。ウィーズリーおばさんは威厳いげんたっぷりに息子たちとハーマイオニーを手招てまねきした。一人、また一人とみんなが立ち上がった。ハリーは敗北を認め、みんなに従った。