ウィーズリーおばさんは、みんなのあとからむっつりと階段を上った。
「まっすぐベッドに行くんですよ。おしゃべりしないで」
最初の踊おどり場ばに着くとおばさんが言った。
「明日は忙いそがしくなるわ。ジニーは眠っていると思います」最後の言葉はハーマイオニーに向かって言った。「だから、起こさないようにしてね」
「眠ってる。ああ、絶対さ」ハーマイオニーがおやすみを言って別れ、あとのみんなが上の階に上るとき、フレッドが小声で言った。「ジニーは目をばっちり開あけて寝てる。下でみんなが何を言ったか、ハーマイオニーが全部教えてくれるのを待ってるさ。もしそうじゃなかったら、俺おれ、レタス食い虫並みだ」
「さあ、ロン、ハリー」二つ目の踊り場で、二人の部屋を指差しながらおばさんが言った。
「寝なさい。二人とも」
「おやすみ」ハリーとロンが双子ふたごに挨あい拶さつした。
「ぐっすり寝ろよ」フレッドがウィンクした。
おばさんはハリーが部屋に入ると、ピシャッと勢いよくドアを閉めた。寝室しんしつは、最初に見たときより、いちだんと暗くじめじめしていた。絵のないカンバスは、まるで姿の見えない絵の主ぬしが眠っているかのように、ゆっくりと深い寝息ねいきを立てていた。ハリーはパジャマに着き替がえ、メガネを取って、ひやっとするベッドに潜もぐり込こんだ。ヘドウィグとピッグウィジョンが洋よう箪だん笥すの上で、カタカタ動き回り、落ち着かない様子で羽を擦こすり合わせていたので、ロンは、おとなしくさせるのに「ふくろうフーズ」を投げてやった。
「あいつらを毎晩まいばん狩かりに出してやるわけにはいかないんだ」栗色くりいろのパジャマに着替えながら、ロンが説明した。「ダンブルドアは、この広場のあたりで、あんまりたくさんふくろうが飛び回るのはよくないって。怪あやしまれるから。あ、そうだ……忘れてた……」
ロンはドアのところまで行って、鍵かぎを掛かけた。