「どうしてそうするの」
「クリーチャーさ」ロンが明かりを消しながら言った。「僕がここに来た最初の夜、クリーチャーが夜中の三時にふらふら入ってきたんだ。目が覚めたとき、あいつが部屋の中をうろついてるのを見たらさ、まじ、いやだぜ。ところで……」
ロンはベッドに潜り込んで上掛うわがけをかけ、暗い中でハリーのほうを向いた。煤すすけた窓を通して入ってくる月明かりで、ハリーはロンの輪りん郭かくを見ることができた。
「どう思う」
ロンが何を聞いたのか、聞き返す必要もなかった。
「うーん、僕たちが考えつかないようなことは、あんまり教えてくれなかったよね」ハリーは、地下で聞いたことを思い出しながら言った。「つまり、結局何を言ったかというと、騎き士し団だんが阻そ止ししようとしてるってこと――みんながヴォル――」
ロンが突然息を呑のむ音がした。
「――デモートに与くみするのを」ハリーははっきり言い切った。「いつになったら、あいつの名前を言えるようになるんだい シリウスもルーピンも言ってるよ」
ロンはその部分は無む視しした。
「うん、君の言うとおりだ」ロンが言った。「みんなが話したことは、僕たち、だいたいもう知ってた。『伸のび耳みみ』を使って。ただ、一つだけ初耳はつみみは――」
バシッ。
「あいたっ」
「大きな声を出すなよ、ロン。ママが戻ってくるじゃないか」
「二人とも、僕の膝ひざの上に『姿すがた現あらわし』してるぞ」
「そうか、まあ、暗いとこじゃ、少し難しいもんだ」
フレッドとジョージのぼやけた輪りん郭かくが、ロンのベッドから飛び降おりるのを、ハリーは見ていた。ハリーのベッドのバネが呻うめくような音を出したと思うと、ベッドが数センチ沈み込んだ。ジョージがハリーの足元あしもとに座ったのだ。