「それで、もうわかったか」ジョージが急せき込んで言った。
「シリウスが言ってた武器のこと」ハリーが言った。
「うっかり口が滑すべったって感じだな」こんどはロンの隣となりに座って、フレッドがうれしそうに言った。「愛いとしの『伸び耳』でも、そいつは聞かなかったな そうだよな」
「何だと思う」ハリーが聞いた。
「なんでもありだな」フレッドが言った。
「だけど、『アバダ ケダブラ』の呪のろいより恐ろしいものなんてありえないだろ」ロンが言った。「死ぬより恐ろしいもの、あるか」
「何か、一度に大量に殺せるものかもしれないな」ジョージが意見を述べた。
「何か、とっても痛い殺し方かも」ロンが怖こわそうに言った。
「痛めつけるなら、『磔はりつけ呪じゅ文もん』が使えるはずだ」ハリーが言った。「やつには、あれより強力なものはいらない」
しばらくの間、みんな黙だまっていた。みんなが、自分と同じように、いったいその武器がどんな恐ろしいことをするのか考えているのだと、ハリーにはわかった。
「それじゃ、いまは誰がそれを持ってると思う」ジョージが聞いた。
「僕たちの側がわにあればいいけど」ロンが少し心配そうに言った。
「もしそうなら、たぶんダンブルドアが持ってるな」フレッドが言った。
「どこに」ロンがすぐに聞いた。「ホグワーツか」
「きっとそうだ」ジョージが言った。「『賢者けんじゃの石』を隠したところだし」
「だけど、武器はあの石よりずっと大きいぞ」ロンが言った。
「そうとはかぎらない」フレッドが言った。
「うん。大きさで力は測はかれない」ジョージが言った。「ジニーを見ろ」
「どういうこと」ハリーが聞いた。
「あの子の『コウモリ鼻はな糞クソの呪のろい』を受けたことがないだろう」
「シーッ」フレッドがベッドから腰を浮かしながら言った。「静かに」
みんなしーんとなった。階段を上がってくる足音がする。
「ママだ」ジョージが言った。間髪かんはつを入れず、バシッという大きな音がして、ハリーはベッドの端から重みが消えたのを感じた。二、三秒後、ドアの外で床が軋きしむ音が聞こえた。ウィーズリーおばさんが、二人がしゃべっていないかどうか、聞き耳を立てているのだ。
ヘドウィグとピッグウィジョンが哀あわれっぽく鳴いた。床板がまた軋み、おばさんがフレッドとジョージを調べに上がって行く音が聞こえた。