ハリーはニヤッとした。三校対たい抗こう試じ合あいの賞しょう金きん一千ガリオンを、ウィーズリーの双子ふたごに無理やり受け取らせ、「悪戯専門店」を開きたいという志こころざしの実現じつげんを助けたのは、ハリーだった。しかし、双子の計画を推進すいしんするのにハリーがかかわっていると、ウィーズリーおばさんにばれていないのはうれしかった。おばさんは、二人の息子の将しょう来らいに、「悪戯専門店」経営けいえいはふさわしくないと考えているのだ。
カーテンのドクシー駆除くじょに、午前中まるまるかかった。ウィーズリーおばさんが覆面ふくめんスカーフを取ったのは正しょう午ごを過ぎてからだった。おばさんは、クッションの凹へこんだ肘ひじ掛かけ椅い子すにドサッと腰を下ろしたが、ギャッと悲鳴ひめいを上げて飛び上がった。死んだネズミの袋に腰掛けてしまったのだ。カーテンはもうブンブン言わなくなり、スプレーの集中攻撃こうげきで、湿ってだらりと垂たれ下がっていた。その下のバケツには、気絶したドクシーが詰つめ込まれ、その脇わきには黒い卵たまごの入ったボウルが置かれていた。クルックシャンクスがボウルをフンフン嗅かぎ、フレッドとジョージはほしくてたまらなそうにちらちら見ていた。
「こっちのほうは、午後にやっつけましょう」
ウィーズリーおばさんは、暖炉だんろの両りょう脇わきにある、埃ほこりをかぶったガラス扉とびらの飾かざり棚だなを指差した。中には奇き妙みょうなものが雑多ざったに詰つめ込こまれていた。錆さびた短たん剣けん類るい、鉤爪かぎづめ、とぐろを巻いた蛇へびの抜け殻がら、ハリーの読めない文字を刻きざんだ、黒く変色した銀の箱がいくつか、それに、一番気持の悪いのが、装そう飾しょく的てきなクリスタルの瓶びんで、栓せんに大粒おおつぶのオパールが一粒ひとつぶ嵌はめ込まれている。中にたっぷり入っているのは血に違いないと、ハリーは思った。