ウィゼンガモットのメンバーがざわめいた。目という目がいまやダンブルドアを見ていた。当惑とうわくした顔もあり、少し恐れている表情もあった。しかし、後列こうれつの年老いた二人の魔女は、手を振って歓迎かんげいした。
ダンブルドアの姿を見て、ハリーの胸に力強い感情が湧わき上がった。不ふ死し鳥ちょうの歌がハリーに与えてくれたと同じような、勇気と希望が湧いてくる気持だった。ハリーはダンブルドアと目を合わせたかったが、ダンブルドアはこちらを見なかった。明らかに不ふ意いを衝つかれた様子のファッジを見つめ続けていた。
「あー」ファッジは完全に落ち着きを失っているようだった。「ダンブルドア。そう。あなたは――あー――こちらからの――えー――それでは、伝言を受け取ったのかな――時間と――あー――場所が変更へんこうになったという」
「受け取り損そこねたらしいのう」ダンブルドアは朗ほがらかに言った。「しかし、幸運にも勘違かんちがいしましてな。魔法省に三時間も早く着いてしまったのじゃ。それで、仔細しさいなしじゃ」
「そうか――いや――もう一つ椅子が要いるようだ――私が――ウィーズリー、君が――」
「いや、いや、お構かまいくださるな」ダンブルドアは楽しげに言うと、杖つえを取り出し、軽く振った。すると、どこからともなく、ふかふかしたチンツ張ばりの肘掛ひじかけ椅子が、ハリーの隣となりに現れた。ダンブルドアは腰を掛け、長い指の先を組み合わせ、その指越しに、礼儀れいぎ正しくファッジに注目した。ウィゼンガモット法廷ほうていは、まだざわつきそわそわしていたが、ファッジがまた口を開いたとき、やっと鎮しずまった。
「よろしい」ファッジは羊よう皮ひ紙しをガサガサめくりながら言った。「さて、それでは。そこで。罪ざい状じょう。そうだ」ファッジは目の前の羊皮紙の束たばから一枚抜いて、深しん呼こ吸きゅうし、読み上げた。「被告人罪状は以下のとおり」
「被告人は、魔法省から前回、同様の咎とがにて警けい告こく状じょうを受け取っており、被告人の行動が違法いほうであると十分に認識にんしきし、熟じゅく知ちしながら、意い図と的てきに、去る八月二日九時二十三分、マグルの居きょ住じゅう地区にて、マグルの面前で、守しゅ護ご霊れいの呪じゅ文もんを行った。これは、一八七五年制定せいていの『未み成せい年ねん魔法使いの妥当だとうな制限せいげんに関する法令ほうれい』項こう、並びに『国こく際さい魔ま法ほう戦せん士し連れん盟めい機き密みつ保ほ持じ法ほう』第十三条の違反いはんに当たる」