まるで、大きな蒼あお白じろいガマガエルのようだ、とハリーは思った。ずんぐりして、大きな顔は締しまりがない。首はバーノンおじさん並みに短く、口はぱっくりと大きく、だらりとだらしがない。丸い大きな目はやや飛び出している。短いくるくるした巻き毛にちょこんと載のった黒いビロードの小さな蝶ちょう結むすびまでが、ハリーの目には大きな蠅はえに見えた。いまにも長いねばねばした舌が伸びてきて、ぺろりと捕まりそうだ。
「ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上じょう級きゅう次じ官かんに発言を許す」ファッジが言った。
魔女が、女の子のように甲高かんだかい声で、ひらひらと話し出したのには、ハリーはびっくり仰ぎょう天てんした。ゲロゲロという嗄しわがれ声だろうと思っていたのだ。
「わたくし、きっと誤解ごかいしてますわね、ダンブルドア先生」顔はニタニタ笑っていたが、魔女の大きな丸い目は冷ひややかだった。
「愚おろかにもわたくし、ほんの一いっ瞬しゅんですけど、まるで先生が、魔法省が命令してこの男の子を襲おそわせた そうおっしゃってるように聞こえましたの」
魔女は冴さえた金きん属ぞく音おんで笑った。ハリーは頭の後ろの毛がぞっと逆立さかだつような気がした。ウィゼンガモットの裁さい判ばん官かんも数人、一いっ緒しょに笑った。その誰もが、別におもしろいと思っているわけでないのは明白だった。
「吸魂鬼が魔法省からしか命令を受けないことが確かだとなれば、そして、一週間前、二体の吸魂鬼がハリーといとこを襲おそったことが確かだとなれば、論ろん理り的てきには、魔法省の誰かが、襲うように命令したということになるじゃろう」ダンブルドアが礼儀れいぎ正しく述べた。「もちろん、この二体の吸魂鬼が魔法省の制御せいぎょできない者だったという可能性は――」
「魔法省の統制とうせい外にある吸魂鬼はいない」ファッジは真まっ赤かになって噛かみついた。
ダンブルドアは軽く頭を下げた。