「思ったとおりだ」ロンが空中にパンチをかませた。「君はいつだってちゃんと乗り切るのさ」
「無罪むざいで当然なのよ」
ハリーが厨ちゅう房ぼうに入ってきたときは、心配で卒倒そっとうしそうだったハーマイオニーが、こんどは震ふるえる手で目め頭がしらを押さえながら言った。
「あなたには何の罪もなかったんだから。なーんにも」
「僕が許されるって思っていたわりには、みんなずいぶんほっとしてるみたいだけど」
ハリーがにっこりした。
ウィーズリーおばさんはエプロンで顔を拭ぬぐっていたし、フレッド、ジョージ、ジニーは戦いの踊おどりのような仕種しぐさをしながら歌っていた。
「ホーメン、ホーメン、ホッホッホー……」
「たくさんだ やめなさい」ウィーズリーおじさんは怒ど鳴なりながらも笑っていた。「ところでシリウス、ルシウス・マルフォイが魔法省にいた――」
「なにぃ」シリウスが鋭するどい声を出した。
「ホーメン、ホーメン、ホッホッホー……」
「三人とも、静かにせんか そうなんだ。地下九階でファッジと話しているのを、私たちが目もく撃げきした。それから二人は大臣室に行った。ダンブルドアに知らせておかないと」
「そのとおりだ」シリウスが言った。「知らせておく。心配するな」
「さあ、私は出かけないと。ベスナル・グリーンで逆ぎゃく流りゅうトイレが私を待っている。モリー、帰りが遅おそくなるよ。トンクスに代わってあげるからね。ただ、キングズリーが夕食に寄るかもしれない――」
「ホーメン、ホーメン、ホッホッホー……」
「いい加減かげんになさい――フレッド――ジョージ――ジニー」おじさんが厨ちゅう房ぼうを出て行くと、おばさんが言った。「ハリー、さあ、座ってちょうだい。何かお昼を食べなさいな。朝はほとんど食べていないんだから」