ロン、ハーマイオニーがハリーの向かい側に掛かけた。ハリーがグリモールド・プレイスに到とう着ちゃくしたとき以来、こんなに幸せそうな顔を見せたのは初めてだ。ハリーも、ルシウス・マルフォイとの出会いで少し萎しぼんでいた有う頂ちょう天てんな安あん堵ど感かんが、また盛り上がってきた。陰気いんきな屋敷やしきが、急に暖あたたかく、歓迎かんげいしているように感じられた。騒ぎを聞きつけて、様子を探りに厨房に豚鼻ぶたばなを突つっ込こんだクリーチャーでさえ、いつもより醜みにくくないように思えた。
「もち、ダンブルドアが君の味方に現れたら、やつらは君を有罪ゆうざいにできっこないさ」
マッシュポテトをみんなの皿に山盛りに取り分けながら、ロンがうれしそうに言った。
「うん、ダンブルドアのおかげで僕が有利になった」ハリーが言った。
ここでもし、「僕に話しかけてほしかったのに。せめて僕を見てくれるだけでも」なんて言えば、とても恩知おんしらずだし、子供っぽく聞こえるだろうと思った。
そう考えたとき、額ひたいの傷きず痕あとが焼けるように痛み、ハリーはパッと手で覆おおった。
「どうしたの」ハーマイオニーが驚おどろいたように聞いた。
「傷が」ハリーは口ごもった。「でも、なんでもない……いまじゃ、しょっちゅうだから……」
他には誰も何も気づかない。誰も彼もが、ハリーの九きゅう死しに一いっ生しょうを喜びながら、食べ物を取り分けているところだった。フレッド、ジョージ、ジニーはまだ歌っていた。ハーマイオニーは少し心配そうだったが、何も言えないでいるうちにロンがうれしそうに言った。
「ダンブルドアはきっと今晩来るよ。ほら、みんなとお祝いするのにさ」
「ロン、いらっしゃれないと思いますよ」ウィーズリーおばさんが巨大なローストチキンの皿をハリーの前に置きながら言った。「いまはとってもお忙いそがしいんだから」
「ホーメン、ホーメン、ホッホッホー……」
「お黙だまり」ウィーズリーおばさんが吠ほえた。