ロンはまだ一ひと言ことも口をきいていなかったが、バッジを受け取り、一いっ瞬しゅんそれを見つめた。それから、本物かどうか確かめてくれとでも言うように、無言でハリーにさし出した。ハリーはバッジを手にした。グリフィンドールのライオンのシンボルの上に、大きく「」の文字が書かれている。これと同じようなバッジがパーシーの胸にあったのを、ハリーはホグワーツでの最初の日に見ていた。
ドアが勢いよく開いた。ハーマイオニーが頬ほおを紅こう潮ちょうさせ、髪かみをなびかせて猛烈もうれつな勢いで入ってきた。手に封筒を持っている。
「ねえ――もらった――」
ハーマイオニーはハリーが手にしたバッジを見て、歓声かんせいを上げた。
「そうだと思った」
興こう奮ふんして、自分の封筒をひらひら振りながら、ハーマイオニーが言った。
「私もよ、ハリー、私も」
「違うんだ」ハリーはバッジをロンの手に押しつけながら、急いで言った。「ロンだよ。僕じゃない」
「だれ――えっ」
「ロンが監督生。僕じゃない」ハリーが言った。
「ロン」ハーマイオニーの口があんぐり開いた。「でも……確かなの だって――」
ロンが挑いどむような表情でハーマイオニーを見たので、ハーマイオニーは赤くなった。
「手紙に書いてあるのは僕の名前だ」ロンが言った。
「私……」ハーマイオニーは当惑とうわくし切った顔をした。「私……えーと……わーっ ロン、おめでとう ほんとに――」
「予よ想そう外がいだった」ジョージが頷うなずいた。
「違うわ」ハーマイオニーはますます赤くなった。「ううん、そうじゃない……ロンはいろんなことを……ロンは本当に……」
後ろのドアが前よりもう少し広めに開き、ウィーズリーおばさんが洗濯せんたくしたてのローブを山のように抱えて後ろ向きに入ってきた。