「お父さまがお聞きになったら ロン、母さんは鼻が高いわ。なんて素敵な知らせでしょう。おまえもビルやパーシーのように、首席になるかもしれないわ。これが第一歩よ ああ、こんな心配事だらけのときに、なんていいことが 母さんはうれしいわ。ああ、ロニーちゃん――」
おばさんの後ろで、フレッドとジョージがオエッと吐はくまねをしていたが、おばさんはさっぱり気づかず、ロンの首にしっかり両腕を回して顔中にキスしていた。ロンの顔はバッジよりも鮮あざやかな赤に染そまった。
「ママ……やめて……ママ、落ち着いてよ……」
ロンは母親を押し退のけようとしながら、モゴモゴ言った。
おばさんはロンを放すと、息を弾はずませて言った。
「さあ、何にしましょう パーシーにはふくろうをあげたわ。でもおまえはもう一羽持ってるしね」
「な、何のこと」ロンは自分の耳がとても信じられないという顔をした。
「ご褒美ほうびをあげなくちゃ」ウィーズリーおばさんがかわいくてたまらないように言った。
「素敵な新しいドレス・ローブなんかどうかしら」
「僕たちがもう買ってやったよ」
そんな気前のいいことをしたのを心から後悔こうかいしているという顔で、フレッドが無念むねんそうに言った。
「じゃ、新しい大おお鍋なべかな。チャーリーのお古は錆さびて穴が空あいてきたし。それとも、新しいネズミなんか。スキャバーズのことかわいがっていたし――」
「ママ」ロンが期待を込めて聞いた。「新しい箒ほうき、だめ」
ウィーズリーおばさんの顔が少し曇った。箒は高価なのだ。
「そんなに高級じゃなくていい」ロンが急いでつけ足した。「ただ――ただ、一度ぐらい新しいのが……」
おばさんはちょっと迷っていたが、にっこりした。
「もちろんいいですとも……さあ、箒も買うとなると、もう行かなくちゃ。みんな、またあとでね……ロニー坊やが監かん督とく生せい みんな、ちゃんとトランクに詰つめるんですよ……監督生……ああ、私、どうしていいやら」
おばさんはロンの頬ほおにもう一度キスして、大きく洟はなを啜すすり、興こう奮ふんして部屋を出て行った。
フレッドとジョージが顔を見合わせた。