「さて、そろそろ乾杯かんぱいしようか」みんなが飲み物を取ったところで、ウィーズリーおじさんが言った。おじさんはゴブレットを掲かかげて言った。
「新しいグリフィンドール監督生、ロンとハーマイオニーに」
ロンとハーマイオニーがにっこりした。みんなが二人のために杯さかずきを上げ、拍はく手しゅした。
「わたしは監督生になったことなかったな」みんなが食べ物を取りにテーブルのほうに動き出したとき、ハリーの背後でトンクスの明るい声がした。今日の髪かみは、真まっ赤かなトマト色で、腰まで届く長さだ。ジニーのお姉さんのように見えた。
「寮りょう監かんがね、わたしには何か必要な資質ししつが欠けてるって言ったわ」
「どんな」焼きジャガイモを選びながら、ジニーが聞いた。
「お行ぎょう儀ぎよくする能力とか」トンクスが言った。
ジニーが笑った。ハーマイオニーは微笑ほほえむべきかどうか迷ったあげく、妥だ協きょう策さくにバタービールをガブリと飲み、咽むせた。
「あなたはどう シリウス」ハーマイオニーの背中を叩たたきながら、ジニーが聞いた。
ハリーのすぐ脇わきにいたシリウスが、いつものように吼ほえるような笑い方をした。
「誰もわたしを監督生にするはずがない。ジェームズと一いっ緒しょに罰則ばっそくばかり受けていたからね。ルーピンはいい子だったからバッジをもらった」
「ダンブルドアは、私が親友たちをおとなしくさせられるかもしれないと、希望的に考えたのだろうな。言うまでもなく、私は見事に失敗したがね」ルーピンが言った。
ハリーは急に気分が晴れ晴れした。父さんも監督生じゃなかったんだ。急に、パーティが楽しく感じられた。この部屋にいる全員が二倍も好きになって、ハリーは自分の皿を山盛りにした。