ロンは聞いてくれる人なら誰彼だれかれおかまいなしに、口を極きわめて新品の箒ほうき自慢じまんをしていた。
「……十秒でゼロから一二〇キロに加速だ。悪くないだろ コメットなんか、ゼロからせいぜい一〇〇キロだもんな。しかも追い風でだぜ。『賢かしこい箒ほうきの選び方』にそう書いてあった」
ハーマイオニーはしもべ妖よう精せいの権利について、ルーピンに自分の意見をとうとうと述べていた。
「だって、これは狼おおかみ人にん間げんの差別さべつとおんなじようにナンセンスでしょう 自分たちがほかの生物より優すぐれているなんていう、魔法使いのばかな考え方に端たんを発してるんだわ……」
ウィーズリーおばさんとビルは、いつもの髪かみ型がた論ろん争そうをしていた。
「……ほんとに手に負えなくなってるわ。あなたはとってもハンサムなのよ。短い髪のほうがずっと素敵すてきに見えるわ。そうでしょう、ハリー」
「あ――僕、わかんない――」急に意見を聞かれて、ハリーはちょっと面食めんくらった。
ハリーは二人のそばをそっと離はなれ、隅すみっこでマンダンガスと密談みつだんしているフレッドとジョージのほうに歩いて行った。
マンダンガスはハリーの姿を見ると口を閉じたが、フレッドがウィンクして、ハリーにそばに来いと招まねいた。
「大だい丈じょう夫ぶさ」フレッドがマンダンガスに言った。「ハリーは信用できる。俺おれたちのスポンサーだ」
「見ろよ、ダングが持って来てくれたやつ」ジョージがハリーに手を突つき出した。萎しなびた黒い豆の鞘さやのようなものを手一いっ杯ぱいに持っていた。完全に静止しているのに、中から微かすかにガラガラという音が聞こえる。