「……ダンブルドアはなぜポッターを監かん督とく生せいにしなかったのかね」キングズリーが聞いた。
「あの人にはあの人の考えがあるはずだ」ルーピンが答えた。
「しかし、そうすることで、ポッターへの信頼しんらいを示せたろうに。私ならそうしただろうね」キングズリーが言い張った。「とくに、『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』が三日に上げずポッターをやり玉に挙あげているんだし……」
ハリーは振り向かなかった。ルーピンとキングズリーに、ハリーが聞いてしまったことを悟さとられたくなかった。ほとんど食しょく欲よくがなかったが、ハリーはマンダンガスのあとからテーブルに戻った。パーティが楽しいと思ったのも突然湧わいた感情だったが、同じぐらい突然に喜びが消えてしまった。上に戻ってベッドに潜もぐりたいと、ハリーは思った。
マッド‐アイ・ムーディが、わずかに残った鼻で、チキンの骨つき腿肉ももにくをクンクン嗅かいでいた。どうやら、毒はまったく検けん出しゅつされなかったらしく、次の瞬しゅん間かん、歯でバリッと食いちぎった。
「……柄えはスペイン樫かしで、呪のろい避よけワックスが塗ぬってある。それに振動しんどうコントロール内蔵ないぞうだ――」ロンがトンクスに説明している。
ウィーズリーおばさんが大おお欠伸あくびをした。
「さて、寝る前にまね妖怪ようかいを処しょ理りしてきましょう……アーサー、みんなをあんまり夜よ更ふかしさせないでね。いいこと おやすみ、ハリー」
おばさんは厨ちゅう房ぼうを出て行った。ハリーは皿を下に置き、自分もみんなの気づかないうちに、おばさんについて行けないかなと思った。
「元気か、ポッター」ムーディが低い声で聞いた。
「うん、元気」ハリーは嘘うそをついた。
ムーディは鮮あざやかなブルーの目でハリーを横睨よこにらみしながら、腰の携けい帯たい瓶びんからぐいっと飲んだ。
「こっちへ来い。おまえが興きょう味みを持ちそうなものがある」ムーディが言った。
ローブの内ポケットから、ムーディは古いボロボロの写真を一枚引っ張り出した。
「不ふ死し鳥ちょうの騎き士し団だん創立そうりつメンバーだ」ムーディが唸うなるように言った。「昨夜、『透とう明めいマント』の予よ備びを探しているとき見つけた。ポドモアが、礼儀れいぎ知らずにも、わしの一いっ張ちょう羅らマントを返してよこさん……。みんなが見たがるだろうと思ってな」