ハリーは写真を手に取った。小さな集団がハリーを見つめ返していた。何人かがハリーに手を振り、何人かは乾杯かんぱいした。
「わしだ」ムーディが自分を指した。そんな必要はなかった。写真のムーディは見間違えようがない。ただし、いまほど白髪はくはつではなく、鼻はちゃんとついている。「ほれ、わしの隣となりがダンブルドア、反対隣がディーダラス・ディグルだ……これは魔女のマーリン・マッキノン。この写真の二週間後に殺された。家族全員殺やられた。こっちがフランク・ロングボトムと妻のアリス――」
すでにむかむかしていたハリーの胃が、アリス・ロングボトムを見てぎゅっと捻ねじれた。一度も会ったことがないのに、この丸い、人懐ひとなつっこそうな顔は知っている。息子のネビルそっくりだ。
「――気の毒な二人だ」ムーディが唸った。「あんなことになるなら、死んだほうがましだ……こっちはエメリーン・バンス。もう会ってるな こっちは、言わずもがなのルーピンだ……ベンジー・フェンウィック。こいつも殺やられた。死体のかけらしか見つからんかった……ちょっと退のいてくれ」ムーディは写真を突つついた。
写真サイズの小さな姿たちが脇わきに避よけ、それまで半分陰かげになっていた姿が前に移動した。
「エドガー・ボーンズ……アメリア・ボーンズの弟だ。こいつも、こいつの家族も殺やられた。すばらしい魔法使いだったが……スタージス・ポドモア。なんと、若いな……キャラドック・ディアボーン。この写真から六ヵ月後に消えた。遺体いたいは見つからなんだ……ハグリッド。紛まぎれもない、いつもおんなじだ……エルファイアス・ドージ。こいつにもおまえは会ったはずだ。あのころこんなバカバカしい帽子ぼうしを被かぶっとったのを忘れておったわ……ギデオン・プルウェット。こいつと、弟のフェービアンを殺すのに、『死し喰くい人びと』が五人も必要だったわ。雄お々おしく戦った……退いてくれ、退いてくれ……」
写真の小さな姿がわさわさ動き、一番後ろに隠れていた姿が一番前に現れた。