「あのね、五年生は各かく寮りょうに二人ずつ監かん督とく生せいがいるの」ハーマイオニーは、この上なく不ふ機き嫌げんな顔で椅子に掛けた。「男女一人ずつ」
「それで、スリザリンの監督生は誰だと思う」ロンが目を閉じたまま言った。
「マルフォイ」ハリーが即座そくざに答えた。最悪の予想が的中するだろうと思った。
「大当たり」ロンが残りの蛙チョコを口に押し込み、もう一つ摘つまみながら、苦々にがにがしげに言った。
「それにあのいかれた牝牛めうしのパンジー・パーキンソンよ」ハーマイオニーが辛辣しんらつに言った。
「脳のう震盪しんとうを起こしたトロールよりバカなのに、どうして監督生になれるのかしら……」
「ハッフルパフは誰」ハリーが聞いた。
「アーニー・マクミランとハンナ・アボット」ロンが口一いっ杯ぱいのまま答えた。
「それから、レイブンクローはアンソニー・ゴールドスタインとパドマ・パチル」ハーマイオニーが言った。
「あんた、クリスマス・ダンスパーティにパドマ・パチルと行った」ぼーっとした声が言った。
みんな一斉いっせいにルーナ・ラブグッドを見た。ルーナは「ザ・クィブラー」誌の上から、瞬まばたきもせずにロンを見つめていた。ロンは口一いっ杯ぱいの蛙かえるをゴクッと飲み込んだ。
「ああ、そうだけど」ロンがちょっと驚おどろいた顔をした。
「あの子、あんまり楽しくなかったって」ルーナがロンに教えた。「あんたがあの子とダンスしなかったから、ちゃんと扱あつかってくれなかったって思ってるんだ。あたしだったら気にしなかったよ」ルーナは思し慮りょ深ぶかげに言葉を続けた。「ダンスはあんまり好きじゃないもン」
ルーナはまた「ザ・クィブラー」の陰かげに引っ込んだ。ロンはしばらく口をぽっかり開けたまま、雑誌ざっしの表紙を見つめていたが、それから何か説明を求めるようにジニーのほうを向いた。しかし、ジニーはクスクス笑いを堪こらえるのに握にぎり拳こぶしの先端せんたんを口に突っ込んでいた。ロンは呆然ぼうぜんとして、頭を振り、それから腕時計を見た。