「一定時間ごとに通路を見回ることになってるんだ」ロンがハリーとネビルに言った。「それから、態度たいどが悪いやつには罰則ばっそくを与えることができる。クラッブとゴイルに難癖なんくせつけてやるのが待ち切れないよ……」
「ロン、立場を濫用らんようしてはダメ」ハーマイオニーが厳きびしく言った。
「ああ、そうだとも。だって、マルフォイは絶対濫用しないからな」ロンが皮肉ひにくたっぷりに言った。
「それじゃ、あいつと同じところに身を落とすわけ」
「違う。こっちの仲間なかまがやられるより絶対先に、やつの仲間をやってやるだけさ」
「まったくもう、ロン――」
「ゴイルに書き取り百回の罰則をやらせよう。あいつ、書くのが苦手にがてだから、死ぬぜ」ロンがうれしそうに言った。ロンはゴイルのブーブー声のように声を低くし、顔をしかめて、一所懸命集中するときの苦しい表情を作り、空中に書き取りをするまねをした。
「僕が……罰則を……受けたのは……ヒヒの……尻しりに……似ているから」
みんな大笑いだった。しかし、ルーナ・ラブグッドの笑いこけ方にはかなわない。ルーナは悲鳴ひめいのような笑い声を上げた。ヘドウィグが目を覚まして怒ったように羽をばたつかせ、クルックシャンクスは上の荷に物もつ棚だなまで跳とび上がってシャーッと鳴いた。ルーナがあんまり笑い転げたので、持っていた雑誌が手から滑すべり落ち、脚あしを伝つたって床まで落ちた。
「それって、おかしいぃ」
ルーナは息も絶え絶えで、飛び出した目に涙を溢あふれさせてロンを見つめていた。ロンは途方とほうに暮れて、周りを見回した。そのロンの表情がおかしいやら、ルーナが鳩尾みずおちを押さえて体を前後に揺ゆすり、バカバカしいほど長々笑い続けるのがおかしいやらで、みんながまた笑った。
「君、からかってるの」ロンがルーナに向かって顔をしかめた。
「ヒヒの……尻しり」ルーナが脇腹わきばらを押さえながら咽むせた。