みんながルーナの笑いっぷりを見ていた。しかし床に落ちた雑誌ざっしをちらりと見たハリーははっとして飛びつくように雑誌を取り上げた。逆さかさまのときは表紙が何の絵かわかりにくかったが、こうして見ると、コーネリウス・ファッジのかなり下へ手たな漫画まんがだった。ファッジだとわかったのは、ライム色の山やま高たか帽ぼうが描かいてあったからだ。片手かたては金きん貨かの袋をしっかりとつかみ、もう一方いっぽうの手で小こ鬼おにの首を絞しめ上げている。画えに説明文がついている。
ファッジのグリンゴッツ乗っ取りはどのくらい乗っているか
その下に、他の掲載けいさい記事の見出しが並んでいた。
腐くさったクィディッチ選手権――トルネードーズはこのようにして主しゅ導どう権けんを握にぎる
古代ルーン文字の秘ひ密みつ解明かいめい
シリウス・ブラック――加か害がい者しゃか被ひ害がい者しゃか
「これ読んでもいい」ハリーは真剣しんけんにルーナに頼んだ。
ルーナは、まだ息も絶たえ絶だえに笑いながらロンを見つめていたが、頷うなずいた。
ハリーは雑誌を開き、目次にさっと目を走らせた。そのときまで、キングズリーがシリウスに渡してくれとウィーズリーおじさんに渡した雑誌のことをすっかり忘れていたが、あれは「ザ・クィブラー」のこの号だったに違いない。
その記事のページが見つかった。ハリーは興こう奮ふんしてその記事を読んだ。
この記事もイラスト入りだったが、かなり下へ手たな漫画で、実際、説明文がなかったら、ハリーにはとてもシリウスだとはわからなかったろう。シリウスが人骨じんこつの山の上に立って杖つえを構かまえている。見出しはこうだ。
シリウス――ブラックは本当に黒なのか
大たい量りょう殺さつ人じん鬼き それとも歌う恋人
ハリーは小こ見み出だしを数回読み直して、やっと読み違えではないと確認かくにんした。シリウスはいつから歌う恋人になったんだ