魔ま法ほう大だい臣じんコーネリウス・ファッジは、魔法大臣に選ばれた五年前、魔法使いの銀行であるグリンゴッツの経営けいえいを乗っ取る計画はないと否定した。ファッジは常に、我々の金きん貨かを守る者たちとは、「平へい和わ裏りに協力する」ことしか望んでいないと主張してきた。
しかしそうなのか
大臣に近い筋すじが最近暴露ばくろしたところによれば、ファッジの一番の野心やしんは、小こ鬼おにの金の供きょう給きゅうを統制とうせいすることであり、そのためには力の行使も辞じさないと言う。
「今回が初めてではありませんよ」魔法省内部の情じょう報ほう筋すじはそう明かした。「『小鬼つぶしのコーネリウス・ファッジ』というのが大臣の仲なか間ま内うちでの綽名あだなです。誰も聞いていないと思うと、大臣はいつも、ええ、自分が殺させた小鬼のことを話していますよ。溺おぼれさせたり、ビルから突き落としたり、毒殺どくさつしたり、パイに入れて焼いたり……」
ハリーはそれ以上は読まなかった。ファッジは欠点だらけかもしれないが、小鬼をパイに入れて焼くように命令するとはとても考えられない。ハリーはページをパラパラめくった。数ページごとに目を止めて読んでみた。――タッツヒル・トルネードーズがこれまでクィディッチの選手権で優勝したのは、脅きょう迫はく状じょう、箒ほうきの違法いほうな細工さいく、拷問ごうもんなどの結果だ――クリーンスイープ号に乗って月まで飛び、証しょう拠こに「月つき蛙がえる」を袋ふくろ一いっ杯ぱい持ち帰ったと主張する魔法使いのインタビュー――古代ルーン文字の記事――。少なくともこの記事で、ルーナが「ザ・クィブラー」を逆さかさに読んでいた理由が説明できる。ルーン文字を逆さにすると、敵てきの耳をキンカンの実に変えてしまう呪じゅ文もんが明らかになるという記事だった。「ザ・クィブラー」の他の記事に比べれば、シリウスが本当は「ザ・ホブゴブリンズ」のリードボーカルかもしれないという記事は、事実、相当まともだった。