ゆっくりと一年生の列が短くなった。名前の読み上げと組分け帽子の決定の間の空白時間に、ロンの胃袋が大きくグルグル鳴るのが聞こえた。やっと「ゼラー、ローズ」がハッフルパフに入れられた。マクゴナガル先生が帽子と丸椅子を取り上げてきびきびと歩き去ると、ダンブルドア校長が立ち上がった。
最近ハリーは、校長に苦にがい感情を持っていたが、それでもダンブルドアが全生徒の前に立った姿は、なぜか心を安らかにしてくれた。ハグリッドはいないしドラゴンまがいの馬はいるしで、あんなに楽しみにホグワーツに帰ってきたのに、ここは思いがけない驚おどろきの連続だった。聞き慣れた歌にぎくりとするような調子はずれが入っていたのと同じだ。しかし、これでやっと、期待どおりだ――校長が立ち上がり、新学期の宴うたげの前に挨あい拶さつする。
「新入生よ」ダンブルドアは唇くちびるに微び笑しょうを湛たたえ、両腕を大きく広げて朗々ろうろうと言った。「おめでとう 古顔ふるがおの諸君しょくんよ――お帰り 挨あい拶さつするには時がある。いまはその時にあらずじゃ。掻かっ込こめ」
うれしそうな笑い声が上がり、拍はく手しゅが湧わいた。ダンブルドアはスマートに座り、長い鬚ひげを肩から後ろに流して、皿の邪魔じゃまにならないようにした――どこからともなく食べ物が現れていた。大きな肉料理、パイ、野菜料理、パン、ソース、かぼちゃジュースの大瓶おおびん。五卓ごたくのテーブルが重さに唸うなっていた。
「いいぞ」ロンは待ち切れないように呻うめき、一番近くにあった骨つき肉の皿を引き寄せ、自分の皿を山盛りにしはじめた。「ほとんど首無しニック」がうらやましそうに見ていた。