「組分けの前に何か言いかけてたわね」ハーマイオニーがゴーストに聞いた。「帽子ぼうしが警告けいこくを発することで」
「おお、そうでした」
ニックはロンから目を逸そらす理由ができてうれしそうだった。ロンは恥はじも外聞がいぶんもないという情じょう熱ねつで、こんどはローストポテトにかぶりついていた。
「左様さよう、これまでに数回、あの帽子が警告を発するのを聞いております。いつも、学校が大きな危き機きに直面していることを察知さっちしたときでした。そしてもちろんのこと、いつも同じ忠ちゅう告こくをします。団結だんけつせよ、内側を強くせよと」
「ぼしなン がこきけん どってわかン」ロンが聞いた。
こんなに口一いっ杯ぱいなのに、ロンはよくこれだけの音を出せたと、ハリーは感心した。
「何と言われましたかな」「ほとんど首無しニック」は礼儀れいぎ正しく聞き返し、ハーマイオニーはむかっとした顔をした。ロンはゴックンと大きく飲み込んで言い直した。
「帽子なのに、学校が危険だとどうしてわかるの」
「私にはわかりませんな」「ほとんど首無しニック」が言った。「もちろん、帽子はダンブルドアの校長室に住んでいますから、敢あえて申し上げれば、そこで感かん触しょくを得るのでしょうな」
「それで、帽子は、全ぜん寮りょうに仲良なかよくなれって」ハリーはスリザリンのテーブルのほうを見ながら言った。ドラコ・マルフォイが王おう様さま然ぜんと振舞ふるまっていた。
「とても無理だね」
「さあ、さあ、そんな態度たいどはいけませんね」ニックが咎とがめるように言った。「平和な協力、これこそ鍵かぎです。我らゴーストは、各かく寮りょうに分かれておりましても、友情の絆きずなは保っております。グリフィンドールとスリザリンの競争はあっても、私は『血みどろ男だん爵しゃく』と事ことを構かまえようとは夢にも思いませんぞ」