生徒が食べ終り、大広間のガヤガヤがまた立ち昇のぼってきたとき、ダンブルドアが再び立ち上がった。みんなの顔が校長のほうを向き、話し声はすぐにやんだ。ハリーはいまや心地よい眠気を感じていた。四本柱のベッドがどこか上のほうで待っている。ふかふかと暖かく……。
「さて、またしてもすばらしいご馳走ちそうを、みなが消化しているところで、学年度始めのいつものお知らせに、少し時間をいただこう」ダンブルドアが話しはじめた。「一年生に注意しておくが、校庭内の『禁じられた森』は生徒立ち入り禁止じゃ――上級生の何人かも、そのことはもうわかっておることじゃろう」ハリー、ロン、ハーマイオニーは互いにニヤッとした。
「管かん理り人にんのフィルチさんからの要請ようせいで、これが四百六十二回目になるそうじゃが、全生徒に伝えてほしいとのことじゃ。授業と授業の間に廊下ろうかで魔法を使ってはならん。その他もろもろの禁止事項じゃが、すべて長い一いち覧らん表ひょうになって、いまはフィルチさんの事じ務む所しょのドアに貼はり出してあるので、確かめられるとのことじゃ」
「今年は先生が二人替かわった。グラブリー‐プランク先生がお戻りになったのを、心から歓迎かんげい申し上げる。『魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』の担当じゃ。さらにご紹しょう介かいするのが、アンブリッジ先生、『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』の新しん任にん教きょう授じゅじゃ」
礼儀れいぎ正しく、しかしあまり熱のこもらない拍はく手しゅが起こった。その間、ハリー、ロン、ハーマイオニーはパニック気味に顔を見合わせた。ダンブルドアはグラブリー‐プランクがいつまで教えるか言わなかった。
ダンブルドアが言葉を続けた。「クィディッチの寮りょう代だい表ひょう選せん手しゅの選抜せんばつの日は――」
ダンブルドアが言葉を切り、何か用かな、という目でアンブリッジ先生を見た。アンブリッジ先生は立っても座っても同じぐらいの高さだったので、しばらくは、なぜダンブルドアが話しやめたのか誰もわからなかったが、アンブリッジ先生が「ェヘン、ェヘン」と咳払せきばらいをしたので、立ち上がっていることとスピーチをしようとしていることが明らかになった。