「ありがとうございました。アンブリッジ先生。まさに啓けい発はつ的てきじゃった」ダンブルドアが会え釈しゃくした。「さて、先ほど言いかけておったが、クィディッチの選抜せんばつの日は……」
「ええ、本当に啓発的だったわ」ハーマイオニーが低い声で言った。
「おもしろかったなんて言うんじゃないだろうな」ぼんやりした顔でハーマイオニーを見ながら、ロンが小声で言った。「ありゃ、これまでで最高につまんない演説えんぜつだった。パーシーと暮らした僕がそう言うんだぜ」
「啓発的だったと言ったのよ。おもしろいじゃなくて」ハーマイオニーが言った。「いろんなことがわかったわ」
「ほんと」ハリーが驚おどろいた。「中身のないむだ話ばっかりに聞こえたけど」
「そのむだ話に、大事なことが隠されていたのよ」ハーマイオニーが深刻しんこくな言い方をした。
「そうかい」ロンはキョトンとした。
「たとえば、『進歩のための進歩は奨しょう励れいされるべきではありません』はどう それから『禁ずべきやり方とわかったものは何であれ切り捨すて』はどう」
「さあ、どういう意味だい」ロンが焦じれったそうに言った。
「教えてさし上げるわ」ハーマイオニーが不吉ふきつな知らせを告げるように言った。
「魔法省がホグワーツに干かん渉しょうするということよ」
周りがガタガタ騒がしくなった。ダンブルドアがお開ひらきを宣せん言げんしたらしい。みんな立ち上がって大広間を出て行く様子だ。ハーマイオニーが大慌おおあわてで飛び上がった。
「ロン、一年生の道案内をしないと」
「ああそうか」ロンは完全に忘れていた。「おい――おい、おまえたち、ジャリども」
「ロン」
「だって、こいつら、チビだぜ……」
「知ってるわよ。だけどジャリはないでしょ――一年生」
ハーマイオニーは威厳いげんたっぷりにテーブル全体に呼びかけた。
「こっちへいらっしゃい」