「ほかに、ハリーのことをごちゃごちゃ言ってる親はいるか」ロンが挑ちょう戦せんした。
「おい、おい、僕の親はマグルだぜ」ディーンが肩をすくめた。「ホグワーツで誰が死のうが、僕の親は知らない。僕は教えてやるほどばかじゃないからな」
「君は僕の母親を知らないんだ。誰からでも何でもするする聞き出すんだぞ」シェーマスが食ってかかった。「どうせ、君の両親は『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』を取ってないんだろう。校長がウィゼンガモットを解任かいにんされ、国こく際さい魔ま法ほう使つかい連れん盟めいから除名じょめいされたことも知らないだろう。まともじゃなくなったからなんだ――」
「僕のばあちゃんは、それデタラメだって言った」ネビルがしゃべり出した。「ばあちゃんは、『日刊予言者新聞』こそおかしくなってるって。ダンブルドアじゃないって。ばあちゃんは購読こうどくをやめたよ。僕たちハリーを信じてる」ネビルは単たん純じゅんに言い切った。
ネビルはベッドによじ登り、毛布を顎あごまで引っ張り上げ、その上からくそまじめな顔でシェーマスを見た。
「ばあちゃんは、『例のあの人』は必ずいつか戻ってくるって、いつも言ってた。ダンブルドアがそう言ったのなら戻ってきたんだって、ばあちゃんがそう言ってるよ」
ハリーはネビルに対する感謝かんしゃの気持が一時いちどきに溢あふれてきた。もう誰も何も言わなかった。シェーマスは杖つえを取り出し、ベッドのカーテンを直し、その陰かげに消えた。ディーンはベッドに入り、向こうを向いて黙だまりこくった。ネビルも、もう何も言うことはなくなったらしく、月明かりに照らされた妙みょうなサボテンを愛いとおしそうに見つめていた。