「ウッドがいなくなったこと、忘れてたわ」ロンの脇わきに腰掛こしかけ、トーストの皿を引き寄せながら、ハーマイオニーがなんとなく言った。「チームにとってはずいぶん大きな違いよね」
「たぶんね」ハリーは反対側に座りながら言った。「いいキーパーだったから……」
「だけど、新しい血を入れるのも悪くないじゃん」ロンが言った。
シューッ、カタカタという音とともに、何百というふくろうが上の窓から舞まい込こんできた。ふくろうは大広間の至いたる所に降おり、手紙や小包みを宛あて先さき人にんに届け、朝食をとっている生徒たちにたっぷり水滴すいてきを浴びせた。外は間違いなく大雨だ。ヘドウィグは見当たらなかったが、ハリーは驚おどろきもしなかった。連れん絡らくしてくるのはシリウスだけだし、まだ二十四時間しか経たっていないのに、シリウスから新しい知らせがあるとは思えない。ところがハーマイオニーは、急いでオレンジジュースを脇に置き、湿った大きなメンフクロウに道を空あけた。嘴くちばしにグショッとした「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」をくわえている。
「何のためにまだ読んでるの」シェーマスのことを思い出し、ハリーがイライラと聞いた。ハーマイオニーがふくろうの脚あしについた革かわ袋ぶくろに一クヌートを入れると、ふくろうは再び飛び去った。「僕はもう読まない……クズばっかりだ」
「敵てきが何を言ってるのか、知っておいたほうがいいわ」ハーマイオニーは暗い声でそう言うと、新聞を広げて顔を隠し、ハリーとロンが食べ終るまで顔を現さなかった。
「何もない」新聞を丸めて自分の皿の脇わきに置きながら、ハーマイオニーが短く言った。「あなたのこともダンブルドアのことも、ゼロ」