「それ、トルネードーズのバッジ」ロンがチョウのローブの胸を指差して、唐突とうとつに聞いた。金の頭かしら文も字じ「」が二つ並んだ紋もん章しょうの空色のバッジが留めてあった。
「ファンじゃないんだろう」
「ファンよ」チョウが言った。
「ずっとファンだった それとも選手権に勝つようになってから」ロンの声には、不必要に非難ひなんがましい調子がこもっている、とハリーは思った。
「六歳のときからファンよ」チョウが冷ひややかに言った。「それじゃ……またね、ハリー」
チョウは行ってしまった。ハーマイオニーはチョウが中庭の中ほどに行くまで待って、それからロンに向き直った。
「気の利きかない人ね」
「えっ 僕はただチョウに――」
「チョウがハリーと二人っきりで話したかったのがわからないの」
「それがどうした そうすりゃよかったじゃないか。僕が止めたわけじゃ――」
「いったいどうして、チョウのクィディッチ・チームを攻撃こうげきしたりしたの」
「攻撃 僕、攻撃なんかしないよ。ただ――」
「チョウがトルネードーズを贔屓ひいきにしようがどうしようが勝手でしょ」
「おい、おい、しっかりしろよ。あのバッジを着けてるやつらの半分は、この前のシーズン中にバッジを買ったんだぜ――」
「だけど、そんなこと関係ないでしょう」
「本当のファンじゃないってことさ。流行に乗ってるだけで――」
「授業開始のベルだよ」
ロンとハーマイオニーが、ベルの音が聞こえないほど大声で言い争っていたので、ハリーはうんざりして言った。二人がスネイプの地ち下か牢ろう教きょう室しつに着くまでずっと議論ぎろんをやめなかったおかげで、ハリーはたっぷり考え込む時間があった――ネビルやロンと一いっ緒しょにいるかぎり、チョウと一分でもまともな会話ができたら奇跡きせきだ。いままでの会話を思い出すと、どこかに逃げ出したくなる。