「僕、ハーマイオニーと言い争うのはやめた」ハリーの脇わきに座りながら、ロンが言った。
「そりゃよかった」ハリーはぶすっと言った。
「だけど、ハーマイオニーが言うんだ。僕たちに八やつ当あたりするのはやめてほしいって」
ロンが言った。
「僕は何も――」
「伝言しただけさ」ロンがハリーの言葉を遮さえぎった。「だけど、ハーマイオニーの言うとおりだと思う。シェーマスやスネイプが君をあんなふうに扱あつかうのは、僕たちのせいじゃない」
「そんなことは言って――」
「こんにちは」トレローニー先生が、例の夢見るような霧きりの彼方かなたの声で挨あい拶さつしたので、ハリーは口を閉じた。またしても、イライラと落ち着かず、自分を恥はじる気持に駆かられた。「『占い学』の授業にようこそ。あたくし、もちろん、休きゅう暇か中ちゅうのみなさまの運命は、ずっと見ておりましたけれど、こうして無事ホグワーツに戻っていらして、うれしゅうございますわ――そうなることは、あたくしにはわかっておりましたけれど」
「机に、イニゴ・イマゴの『夢のお告げ』の本が置いてございますね。夢の解かい釈しゃくは、未来を占うもっとも大切な方法の一つですし、たぶん、ふくろう試験しけんにも出ることでしょう。もちろん、あたくし、占いという神聖しんせいな術に、試験の合否ごうひが大切だなどと、少しも考えてはおりませんの。みなさまが『心眼しんがん』をお持ちであれば、証しょう書しょや成績せいせきはほとんど関係ございません。でも、校長先生がみなさまに試験を受けさせたいとのお考えでございます。それで……」
先生の声が微び妙みょうに細くなっていった。自分の学科が、試験などという卑いやしいものから超ちょう越えつしていると考えていることが、誰にもはっきりわかるような調子だ。