ベルが鳴り、ハリーとロンは先に立って梯子はしごを下りた。ロンが大声で不平を言った。
「もうどれくらい宿題が出たと思う ビンズは巨人の戦争で五十センチのレポート、スネイプは月げっ長ちょう石せきの用途ようとで三十センチ、その上こんどはトレローニーの夢日記一ヵ月ときた。フレッドとジョージはふくろうの年について間違ってなかったよな あのアンブリッジ婆ばばぁが何にも宿題出さなきゃいいが……」
「闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ」の教室に入っていくと、アンブリッジ先生はもう教きょう壇だんに座っていた。昨夜のふわふわのピンクのカーディガンを着て、頭のてっぺんに黒いビロードのリボンを結んでいる。またしてもハリーは、大きな蝿はえが、愚おろかにもさらに大きなガマガエルの上に止まっている姿を、いやでも想像した。
生徒は静かに教室に入った。アンブリッジ先生はまだ未み知ち数すうだった。この先生がどのくらい厳きびしいのか誰もわからなかった。
「さあ、こんにちは」クラス全員が座ると、先生が挨あい拶さつした。
何人かが「こんにちは」とボソボソ挨拶を返した。
「チッチッ」アンブリッジ先生が舌を鳴らした。「それではいけませんねえ。みなさん、どうぞ、こんなふうに。『こんにちは、アンブリッジ先生』。もう一度いきますよ、はい、こんにちは、みなさん」
「こんにちは、アンブリッジ先生」みんな一斉いっせいに挨あい拶さつを唱となえた。
「そう、そう」アンブリッジ先生がやさしく言った。「難しくないでしょう 杖つえをしまって、羽は根ねペンを出してくださいね」
大勢の生徒が暗い目を見み交かわした。杖をしまったあとの授業が、これまでおもしろかった例ためしはない。ハリーは杖をカバンに押し込み、羽根ペン、インク、羊よう皮ひ紙しを出した。アンブリッジ先生はハンドバッグを開け、自分の杖を取り出した。異常に短い杖だ。先生が杖で黒板を強く叩たたくと、たちまち文字が現れた。
闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ