「たくさんだわ」
ハーマイオニーはフレッドとジョージに強きょう硬こうに言い放はなった。二人ともちょっと驚おどろいたようにハーマイオニーを見た。
「うん、そのとおりだ」ジョージが頷うなずいた。「たしかに、この用よう量りょうで十分効きくな」
「今朝言ったはずよ。こんな怪あやしげなもの、生徒に試ためしてはいけないって」
「ちゃんとお金を払ってるぞ」フレッドが憤慨ふんがいした。
「関係ないわ。危険性があるのよ」
「バカ言うな」フレッドが言った。
「カッカするなよ、ハーマイオニー。こいつら大だい丈じょう夫ぶだから」
リーが紫むらさき色いろのキャンディを、一年生の開いた口に次々に押し込みながら請うけ合った。
「そうさ、ほら、みんなもう気がつき出した」ジョージが言った。
たしかに何人かの一年生がゴソゴソ動き出していた。床に転がったり、椅子からぶら下がっているのに気づいて、何人かがショックを受けたような顔をしたところを見ると、フレッドとジョージは、菓子がどういうものかを事前に警告けいこくしていなかったに違いない、とハリーは思った。
「大だい丈じょう夫ぶかい」自分の足元に転がっている黒い髪かみの小さな女の子に、ジョージがやさしく言った。
「だ――大丈夫だと思う」女の子が弱々しく言った。
「よーし」フレッドがうれしそうに言った。しかし次の瞬しゅん間かん、ハーマイオニーがクリップボードと「気絶きぜつキャンディ」の紙袋をフレッドの手からひったくった。
「よーし、じゃありません」
「もちろん、よーしだよ。みんな生きてるぜ、え」フレッドが怒ったように言った。
「こんなことをしてはいけないわ。もし一人でも本当に病気になったらどうするの」
「病気になんかさせないさ。全部自分たちで実験じっけんずみなんだ。これは単に、みんなおんなじ反応はんのうかどうかを――」
「やめないと、私――」
「罰則ばっそくを科す」フレッドの声は、お手て並なみ拝見はいけん、やってみろと聞こえた。
「書き取り罰ばつでもさせてみるか」ジョージがニヤリとした。