見物人がみんな笑った。ハーマイオニーはぐっと背筋せすじを伸ばし、眉まゆをぎゅっと寄せた。豊かな髪かみが電気でバチバチ火花を散らしているようだった。
「違います」ハーマイオニーの声は怒りで震ふるえていた。「でも、あなた方のお母さんに手紙を書きます」
「よせ」ジョージが怯おびえてハーマイオニーから一歩退しりぞいた。
「ええ、書きますとも」ハーマイオニーが厳いかめしく言った。「あなたたち自身がバカな物を食べるのは止められないけど、一年生に食べさせるのは許せないわ」
フレッドとジョージは雷かみなりに撃うたれたような顔をしていた。ハーマイオニーの脅おどしは残ざん虐ぎゃく非ひ道どうだと思っているのが明らかだった。もう一度脅しの睨にらみをきかせ、ハーマイオニーはクリップボードとキャンディの袋をフレッドの腕に押しつけると、暖炉だんろ近くの席まで闊歩かっぽして戻った。
ロンは椅子の中で身を縮ちぢめていたので、鼻の高さと膝ひざの高さがほとんど同じだった。
「ご支援しえんを感謝かんしゃしますわ、ロン」ハーマイオニーが辛辣しんらつに言った。
「君一人で立派にやったよ」ロンはモゴモゴ言った。
ハーマイオニーは何も書いていない羊よう皮ひ紙しをしばらく見下ろしていたが、やがてピリピリした声で言った。「ああ、だめだわ。もう集中できない。寝るわ」
ハーマイオニーはカバンをぐいと開けた。ハリーは教科書をしまうのだろうと思った。ところが、ハーマイオニーは、歪いびつな形の毛糸編あみを二つ引っ張り出し、暖だん炉ろ脇わきのテーブルにそっと置いた。そして、くしゃくしゃになった羊皮紙の切れ端二、三枚と折れた羽は根ねペンで覆おおい、その効果こうかを味わうようにちょっと離はなれてそれを眺ながめた。