翌朝は、昨日と同じように朝からどんよりとして雨が降ふっていた。朝食のとき、ハグリッドはやはり教きょう職しょく員いんテーブルにいなかった。
「だけど、いいこともある。今日はスネイプなしだ」ロンが景気をつけるように言った。
ハーマイオニーは大きな欠伸あくびをしてコーヒーを注いだ。なんだかうれしそうなので、ロンがいったい何がそんなに幸せなのかと聞くと、ハーマイオニーは単たん純じゅん明めい快かいに答えた。
「帽子がなくなっているわ。しもべ妖よう精せいはやっぱり自由がほしいのよ」
「僕はそう思わない」ロンは皮肉ひにくっぽく言った。「あれは服のうちには入らない。僕にはとても帽子には見えなかった。むしろ毛糸の膀胱ぼうこうに近いな」
ハーマイオニーは午前中一度もロンと口をきかなかった。
二時限連続の「呪じゅ文もん学がく」の次は、二時限続きの「変へん身しん術じゅつ」だ。フリットウィック先生もマクゴナガル先生も授業の最初の十五分は、ふくろうの重要性について演説えんぜつした。
「みなさんが覚えておかなければならないのは」チビのフリットウィック先生は、机越しに生徒を見るために、いつものように積み上げた本の上にちょこんと乗って、キーキー声で話した。「この試験が、これから何年にもわたって、みなさんの将しょう来らいに影えい響きょうするということです。まだみなさんが真剣しんけんに将来の仕事を考えたことがないなら、いまこそそのときです。そして、それまでは、自分の力を十分に発揮はっきできるように、大変ですがこれまで以上にしっかり勉強しましょう」
それから一時間以上、「呼よび寄よせ呪じゅ文もん」の復ふく習しゅうをした。フリットウィック先生はこれが間違いなくに出ると言い、授業の締しめ括くくりに、これまでにない大量の宿題を出した。